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“バトルDJの登竜門”DMC世界大会の審査では「Dropbox Replay」を活用

アナログの魂とデジタルの革新 伝説のバトルDJ・DJ Shortkutが語る“テクノロジーとの向き合い方”

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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情報発信をうながすデジタルが、世界のDJカルチャーにもたらす変化

 デジタル化が進んだことで、DJを取り巻く環境はどう変化し、それをどう思っているのか。もう少し突っ込んで話をうかがいました。

 まずは「デジタルネイティブ世代のDJ」についてです。若いDJのなかには、アナログ時代を経験せず、デジタルからDJを始めた“デジタルネイティブ世代”もいます。そうした新しい世代のDJプレイに何か特徴はあるかと尋ねたところ、Shortkutさんは、プレイスタイルではなく「音楽の選び方に違いを感じる」と言います。

 「現在では、新しい音楽がDJに広まるスピードも、それが消えていくスピードもとても速く、音楽がどんどん消費されている気がします。『DJとして大切なのは、テクニックより音楽そのものである』というのがわたしの意見です。どんなツールを使うのか、それがデジタルかどうかは二の次であり、やはり大切なのは“良い音楽かどうか”ではないでしょうか」

 もうひとつ「デジタル化がDJにもたらした具体的なメリット」についても聞きました。Shortkutさんは、DJプレイそのものよりも「情報を発信/入手する」側面で、デジタル化が世界のDJカルチャーに大きな恩恵をもたらしていることを強調します。

 「昔は、海外のDJがどんなプレイをしているのかを見るためには、VHSテープが流通するのを待たなければなりませんでした。『日本のDJがこんな技を使ってたぞ、もう見たか?』……ああ、早くビデオが届かないかな! なんてね(笑)。それがいまはYouTubeのおかげで、どんな国にいても同じレベルの情報が得られるようになりました。誰かが昨日公開した最新のテクニックのビデオを見て、世界中のDJが練習する――これはすごいことです」

 ちなみにShortkutさん自身も、プライベートなTwitch TVチャンネルでDJプレイを生配信することがあります。

 「実際のオーディエンスを前にプレイするわけではありませんが、毎回300人から600人ほどの視聴者が見てくれます。自分の感覚を研ぎ澄ますためには、最高のトレーニングですね」

DMCのビデオ審査で「Dropbox Replay」が活躍、かつてなくスムーズに

 かつてShortkutさんが注目を浴びるきっかけとなったDMC World DJ Championshipsは、1985年から続く世界最大級のDJコンペティションであり、“バトルDJ界の登竜門”といえます。40周年を迎えた昨年(2025年)は東京で世界大会が開催され、Shortkutさんも審査員として参加しました。

 DMCの予選はオンラインで行われ、世界中のDJから集まる数百本のDJパフォーマンスのビデオを、複数の審査員が共同で審査します。この審査プロセスにおいて、Dropboxが提供する「Dropbox Replay」が活用されました。

 Dropbox Replayは、ビデオや音楽のクリエイター向けのオンラインレビューツールです。複数の人がクラウド上で共有されたコンテンツを再生し、タイムライン上にコメントを書き込むことができます。書き込まれたコメントは、ほかの人にも共有されます。

Dropbox Replay。ビデオや楽曲のファイルを複数人でシェアし、クラウド上で共同レビューが行える。タイムライン上でのコメントやビデオへの描き込みで、正確なフィードバックができます

 「今回、審査するビデオはすべてDropbox Replayにアップロードされ、競技カテゴリごとに分類されました。これまでの大会で、最も情報が整理されていたと思います。審査員としても順番にビデオを見ていけばよいので、審査はしやすかったですね」

 以前のビデオ審査は、ビデオがアップロードされたYouTubeのURLがメールで届き、それを一つずつ見て、共有するGoogleドキュメントにジャッジを書き込む方式でした。これらのツールがすべてDropbox Replayに集約されたことで、審査がスムーズになりました。

 「将来的には、審査員だけでなくDJコミュニティにいる一般の人も、コメントや投票ができると面白いでしょうね。審査員の視点とは違う視点からパフォーマンスを見たときに、新たに見えてくるものがあるかもしれません。ターンテーブリストのバトルを見るのが好きならば誰でも参加できる、そんな仕組みがあれば、大会がさらに盛り上がりそうです」

 ちなみにShortkutさんは、Dropboxが登場した2008年前後からDropboxを使う“古参ユーザー”であり、現在も愛用しています。ほかのDJやプロデューサーと音源やビデオのファイルをやり取りする際には「必ずDropboxを使っています」と語りました。

 「周りのDJやプロデューサーは、みんなDropboxを使っていますね。彼らが音源を送ってくるときは、決まって『Dropbox使ってる?』と聞かれるので『使ってるよ!』と答える。もう合言葉みたいなものです」

* * *

 DJや音楽クリエイターを目指すすべての人へのメッセージとして、Shortkutさんは「恐れずに情報を発信すること」の大切さを訴えました。もちろん、ここではデジタルな手段が活用できるはずです。

 「自分のテクニックや作品がまだ未完成だと思っても、恐れずためらわず、世界に発信してください。情報を発信すれば、必ずやそれに刺激を受ける人が出てきて、自分も刺激を受けることになる。そうやってカルチャーは前進していくのだと、わたしは考えています」

 そして“温故知新”、新たなものを生み出すためには、過去の音楽やテクニックを振り返って学ぶことも大切だと述べました。特に、過去について深く学んだ若い世代が、どんな新しいものを生み出すのかに注目しています。

 「DJとは、常に学び続ける学生のようなものではないでしょうか」

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