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業務を変えるkintoneユーザー事例 第305回

「データベースオンザフロア」だった給湯器工事会社がkintoneで変身

給湯器の工事職人にkintoneは託された 今では入社1週間で3000種類の給湯器の見積を作れるまでに

2026年04月21日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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3000種類の給湯器の見積、20分がなんと5分に

 事務処理も、見積作成も、電話対応も、養生テープも全部経験した隠地さん。見えてきたのは、冒頭に説明した「3000種類の給湯器の見積作成が難しすぎる」という課題だ。

 例示された2つの型番はアルファベットと数字で構成されており、メーカーは異なるが、ほぼ同じ仕様の商品だという。ベテラン社員はメーカーごとの型番のルールだけを覚え込み、これらの型番から給湯器の見積を作っていた。しかし、この「メーカー型番を覚える」という方法だと見積書の作成に20分かかる。一方で、問い合わせは16分に1件なので、4分が足らず、これらが積もって残業になっていた。

ほぼ同じ仕様だが、型番はまったく異なる。ベテランは型番のルールで覚え込んだ

 この課題を解決すべく、隠地さんはkintoneの関連レコード一覧の機能を使うことにした。これまで作った商品マスタ、案件リスト、発注一覧のすべてをつなげて、1つのアプリで金額と在庫を確認できるようにした。見積作成の画面から項目を選べば、発注一覧から在庫数、商品マスタから価格を参照してくれる。さらに、トヨクモのPrint Creatorを使うことで、見積書をワンクリック出力できるようにした。

 これにより、20分かかっていた見積作成の時間が5分と大幅削減できるようになった。5分の内訳は、既設の品番検索が1分、kintoneでの分類選択が1分、品番の選択と在庫・金額の確認が2分、見積もりのPDF出力が1分だ。「なんとまったく給湯器の知識のない新人さんでも入社後1週間で見積を作成し、提案できるようになりました」と隠地さんはアピールする。

見積にかかる時間が20分から一気に5分に短縮

 業務のボトルネックとなっていた課題の解決に、現場からは喜びの声が出てくるようになる。「見積書作成、簡単になりました!」「ご成約いただけました!」「他の商品も見積したいです」などなど。「うれしいですよね。kintoneやってきてよかったなと本当に思いました。kintoneで業務効率化できたのも、もちろん素晴らしいのですが、メンバーに考える時間ができたのが、本当に素晴らしいことだと思います」と隠地さんは振り返る。

考える時間ができたら、顧客満足度や売上UPに頭が向くように

 考える時間ができたことで、社内では売上UPや顧客満足度の向上にkintoneを活用できないか?という方向に頭が向くようになる。

 その1つ目の事例がECモール商品の一括登録だ。松永興業では「エコチェンジ」というブランドで工事サービス付きの給湯器販売をネット販売していたが、今までは商品登録がすべて手入力だった。

 これをkintoneの商品マスタから楽天市場とYahoo!ショッピングに一括登録することにした。今まで30件しかなかった商品数が一気に1000件になった。月商も350万円から一気に2700万円と桁違いの伸びを実現した。商品のスピード展開が可能になったことで、「今では楽天市場、Yahoo!ショッピングともに、工事サービス付きの給湯器販売でNo.1の売上を獲得できました」(隠地さん)ということだ。

kintoneの商品マスタから一括登録。商品数が増え、売上も一気に拡大

 続いて顧客対応の改善だ。これまで顧客とのやりとりは、公式LINEアカウントを使っており、問い合わせに対しては、今までPCから手入力で返信をしていた。この顧客対応フローを、伴走パートナーのコムデックの支援を得て、公式LINEとkintone、AIを連携。具体的には、LINE公式から来たメッセージをkintoneで読み込むと、生成AIが過去のやり取りを元に返信内容を考えてくれる。担当者が内容を確認して送信すればOKだ。

AIが過去の履歴から返信内容を生成してくれる

お客さま、従業員、取引先、会社の「四方良し」をkintoneで実現

 隠地さんは「イチ元工事職人の私は、ECサイトの売上UPとか、AIを業務に溶け込ませるとか、そんなこと普通考えつかないんです」と語る。その上で、「ただ、kintoneをやり続けてきたことで、いろんな業務に携わり、いろんな人と関わった結果、こんなことができた。だから、kintoneにも、kintoneで関わった人にも感謝しています」と語る。

 振り返れば、まずは業務環境を整えていた。残業時間は月50時間から15時間に減り、思考時間を増やすことで、顧客対応や品質向上に目が向くようになった。口コミやレビューで高評価を得られると、売上も上がり、当然ながら会社が成長していた。取引先も増え、工事依頼をいただく関係も構築できるようになる。そして利益が増えることで、従業員にも還元できるようになったという。「四方良しがやっと実現された」と隠地さんは語る。

お客さま、従業員、取引先、会社の「四方良し」がようやく実現した

 当初、隠地さんはkintoneを「仕事を楽にするツール」と考えていた。しかし、システムを構築し、業務効率化を実現し、人が考えて想像できる時間を作ったら、社員からアイデアや意見が出るようになった。社内の熱量が上がって、会社の循環して、よくなったという。「kintoneはだたのツールです。でもそのkintoneを使い続けることで、我が社の理念『四方良し』を実現できました。kintoneで四方良し!」とトップバッターとしての講演を締めた。

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