富士通と大阪大が量子ソフトウェア領域でまた一歩前進
創薬・新素材開発で計算を“1000倍高速化” 量子コンピューター実用化を見据えた新技術
2026年03月26日 08時00分更新
先行するソフトウェア領域の研究 他分野への応用も視野に
こうした新技術を、科学材料計算の対象となる「シトクロムP450(創薬)」「鉄-硫黄クラスター(アンモニア合成)」「ルテニウム触媒(カーボンリサイクル)」の3つの分子のエネルギー計算に適用する検証を行った。
その結果、主にSTARアーキテクチャ ver. 3の効果により、従来FTQCアーキテクチャでは70万~200万量子ビットを必要とするところを、約15分の1~80分の1まで低減させている。そして、分子モデルの最適化によって、STARアーキテクチャ ver. 2でも5000日~1万3000日要する計算時間を、5日~13日へと3桁の大幅短縮に成功している。なお、これらの成果は物理エラー率に依存し、これらの数字は既に部分的に達成されている0.01%のエラー率での実証結果となる。
「いわゆる数万から数十万量子ビットのEarly-FTQC時代の量子コンピューターでも、実用的な化学材料のエネルギー計算が可能なことが確認できた。これは市場上、非常に大きなインパクトを持つ」(佐藤氏)
今後は、STARアーキテクチャや関連技術をさらに発展させて、より大きな分子へと適用領域を広げていく。さらに、金融・物流・医療領域での高度な最適化問題の解決など、他分野への応用も目指すという。佐藤氏は、「富士通はハードウェアだけではなく、ソフトウェア技術によるリソース削減にも注力していく。量子計算の実用化に向けて、大阪大学との共同研究を続けていきたい」と語った。
大阪大学の藤井氏は、「量子コンピューター研究は総力戦。様々な分野の優秀な研究者が参入している。ソフトウェア分野は、ハードウェアに比べて5年、10年先を見据えており、これは人材や開発研究力の証左」と締めくくった。
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