日本の叡智が集結! 液晶アンテナから小型電波暗室まで、MWCで見た日本発の通信技術3選
2026年03月12日 09時30分更新
世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2026」では、総務省が支援するジャパンパビリオンに16社が出展した。Beyond 5G/6Gやオールフォトニクスネットワーク(APN)、NTN(非地上系ネットワーク)、Open RANといったテーマで日本発の技術をアピールしていた。
AIや6Gといった華やかなキーワードが並ぶ大手ブースの陰で、通信インフラを支える要素技術に取り組む企業の姿があった。本稿では、会場で思わず足を止めた3社の展示を紹介する。
ディスプレイ技術で衛星通信に挑むJDI
ジャパンディスプレイ(JDI)のブースに並んでいたのは、ディスプレイではなくアンテナだった。液晶ディスプレイの製造技術を応用した、衛星通信向けのフェーズドアレイアンテナだ。ガラス基板上に金属パターンを形成し、その間に液晶を封入してある。
液晶ディスプレイでは液晶の配列を変えて光の透過を制御するが、このアンテナでは電波の位相を液晶で制御し、ビームの方向を変える。根っこの技術は共通で、既存の液晶ディスプレイと同じ製造ラインで作れるのが強みだと担当者は説明した。
狙うのはNTN向けの周波数帯で、低軌道衛星との通信だ。先行するStarlinkはIC(半導体)で位相を制御する方式で、EIRPなどのスペックではStarlinkに分がある。ただ、IC方式は素子ごとに発熱するため放熱設計が悩ましい。JDIの液晶方式は性能こそやや劣るが発熱が低く、設置場所を選ばない利点がある。
製品化の目標は2027年末ごろ。顧客が確定しないと後ろ倒しになる可能性もあるという。ブースにはAmazon(Project Kuiper)の担当者も訪れているとのことで、衛星通信事業者からの引き合いは出始めているようだ。こうしたフラットアンテナを作れるメーカーは世界的にも少なく、Starlinkが独自にアンテナまで手がけている現状で、ほかの衛星事業者がどこからアンテナを調達するかは切実な問題になっている。

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