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ヘルスケア・行政領域から適用、システム開発を“人月”から“顧客提供価値”ベースに

“保守地獄”からSEを解放する 富士通がソフトウェア改修の全工程をマルチエージェントで自動化

2026年02月18日 10時45分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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AIドリブン開発を実現した“3つのブレイクスルー”と“AI-Ready Engineering”

 このAIドリブンな開発基盤は、3つの技術的ブレイクスルーにより実現している。

 ひとつ目は、「高度な法令理解から要件定義を自動生成」する技術だ。AIエージェントが法令文書から変更点を抽出し、ソフトウェアの設計書やソースコードと突き合わせながら修正箇所を体系的に整理。最終的には、外部仕様書レベルの要件を生成する。「単なる文書理解にとどまらない、難解な法令文書を翻訳する重要なブレイクスルー」(國分氏)

700ページを超える法令文書からも要件定義を自動生成

 2つ目は、「AI出力の品質を『有識者レベル』に引き上げる」技術だ。ベテラン開発者の考え方を4つのレイヤーで再現する「Multi-layer Quality Control」という仕組みを開発した。

 具体的には、以下の4つのレイヤーを通して、ハルシネーションを防ぎ、実務で使える品質を確保する。

自律設計レイヤー:観察・思考・行動の反復で要件定義や設計エージェントの精度を上げる
ガーディアンレイヤー:自律設計レイヤーで出した結果を監査して、不足・曖昧・矛盾があればやり直させる
知識レイヤー:会社固有のシステム開発作法を注入する
情報アクセスレイヤー:知識レイヤーからAIの思考に必要な情報のみを抜き出す

AI出力の品質を高める4つのレイヤー

 最後は、「自律リレー型のアーキテクチャ」だ。要件定義・設計・実装・結合テストのそれぞれを担当するエージェントがリレー型でプロセスを進め、独立した「再修正」担当のエージェントが「人の品質水準」に届くまでやり直しを指示する。これにより人の介入なしの「止まらない開発」を実現している。

AIエージェントによる止まらない開発

 加えて、自動化を成り立たせる最大のポイントは、同社が「AI-Ready Engineering」と呼ぶ、AIが迷わず判断できるようにする“仕込み”だ。それは、既存システム資産の整備から暗黙知の形式知化、開発ルールの標準化、結果を評価するための正解データの準備など、資産・知識・品質を整えるための前工程である。

 「この仕込みには、単なるAIの技術だけではなく、富士通が複雑な大規模システムを支えてきた現場の実践知が重要な役割を果たす。『人の実践知』と『AIの実行知』を結合できる力こそが富士通の強み」(岡田氏)

自動化の成功率を決める「AI-Ready Engineering」

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