配線がうねる? ルテニウムの弱点を克服する「型枠」の知恵
ではCuの代わりとして有望なのはなにか? 候補としてあがっているのはRh(ロジウム)/Ir(イリジウム)/Mo(モリブデン)/Co(コバルト)/Ni(ニッケル)/Ru(ルテニウム)といった材料になる。
ここで重要なのは、微細化の邪魔にならないように、(Cuのような)バリア層を必要としないこと、それとエレクトロマイグレーションに強いことだ。
さて、インテルはRuが有望と説明したが、実際にはいろいろと問題がある。Ruを使う場合、Line Wigglingと呼ばれる現象が発生する。
配線の太さが不均一になるわけだが、これは配線の抵抗増の大きな要因になる。
なぜこれが発生するのか、というメカニズムをファスナーに例えたのが下の画像である。Ruがお互いに引っ張り合うように作用し、結果として形が変形してしまうわけだ。
この現象はRuだけでなく、表面エネルギー(Surface Energy:物質の界面(表面)と内部で異なる分子のエネルギー状態であることに起因して発生する、界面あたりの過剰なエネルギー)が大きい材料ならば発生しやすくなる。
ちなみにLine Wigglingは、Template Material(型枠の材質)によっても変わってくる。要するにZippingが起きそうになっても(=Ru同士で引っ張り合いが発生しても)、型枠の形状が変わらなければLine Wigglingは発生しないからだ。
これを踏まえてのRuを利用しての配線構築方法が下の画像だ。つまりまずTiNで型枠を作り、Ruを埋め込んで配線層を構築。次いでCMPで上面を削り取りTiNを除去し、Low-K材料を埋めて完了だ。
加工手順の各段階における断面写真が下の画像となる。そして作業完了したあとの配線の様子をLow-K材料を使った場合と比較したのがその下の画像だ。
配線間のリーク電流の測定結果が下の画像で、90%の確率で目標値よりも3桁以上低いリーク電流を示しているのがわかる。

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