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「NetApp Insight Xtra Tokyo」基調講演でデータ基盤戦略を語る

「データをナレッジに変える」AI時代の新しいデータ基盤へ ―NetAppクリアンCEO

2026年02月13日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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パフォーマンスと容量が柔軟にスケールする「NetApp AFX」

 こうしたビジョンの下、NetAppでは2025年秋に新たなオールフラッシュストレージ「NetApp AFX」を発表した。AFXもONTAPを基盤としているが、「AIワークロード向けに設計されたシステム」であることを強調している。

 特徴的なのは、パフォーマンスと容量の大幅な拡張性だ。大量のGPUが並列計算処理を行うAIワークロードでは、ストレージから大量のデータが読み出されるが、従来のストレージではこの速度に追いつけない。GPUがデータを待つ時間が生じれば、それがボトルネックとなって処理全体が滞る。大規模なGPUクラスターが、本来持つ性能を発揮できないわけだ。

 そこでAFXは、「パフォーマンス」と「容量」を独立して拡張できる「ディスアグリゲーテッドストレージ」というアーキテクチャを採用している。単一クラスターで最大128ノードまで拡張が可能であり、4テラバイト/秒のスループット、エクサバイト規模のデータセット容量に対応し、大規模GPUクラスターを補完する。

 クリアン氏は「ミッションクリティカルなAIには、エンタープライズ級のレジリエンス(回復性)と性能が求められる」としたうえで、「GPUがコンピューティングと分析にもたらしたものを、ストレージにもたらす」と述べた。

 AFXのリリースにより、NetAppのストレージは「第3世代」に突入したという。第1世代はHDD時代の並列ファイルシステム、第2世代はパフォーマンス重視だがマルチテナンシーやデータ管理機能が不足していた。「われわれが提供する第3世代は、最高のデータ管理、マルチテナンシー、セキュリティと、大規模AIに必要なパフォーマンスやスケーラビリティを両立する」と語った。

AIワークロード向けに設計されたオールフラッシュストレージ「NetApp AFX」

ストレージ上でAI向けの「データ変換」までこなす「AI Data Engine」も

 同じく2025年秋に発表した、AIデータパイプラインを簡素化するソフトウェアスタック「AI Data Engine(AIDE)」にも触れた。

 AIDEは、前述したインテリジェント・データ・インフラストラクチャの上で、データの取り込みから準備、生成AIアプリケーションへの提供までを一貫して処理・管理する。デモ映像では、NetAppのデータ資産全体をリアルタイムで可視化し、オンプレミス・クラウドを問わず任意のAIモデルに接続できる様子が紹介された。

 データへのアクセス権限を引き継いでAIへの過剰な権限付与を防ぐ「ガードレール」機能や、データ変更の自動検知・同期機能も備える。さらにAIDEは、NVIDIAの「AI Data Platform」と統合されており、NVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティングを活用したベクトル化やセマンティック検索を実現する。

 「NetAppはこれまでデータを保護してきた。AIDEにより、データを変換し、その場で処理することで、データからナレッジへの道筋を開く」

ストレージシステムの内部でAI向けのデータ処理やデータ管理を実現する「AI Data Engine(AIDE)」

「グローバル・ハイブリッドクラウド・ネームスペース」も実現

 データ資産の管理では、オンプレミスのデータセンター、さまざまなクラウド(マルチクラウド)にデータが散在していることも課題だ。NetAppでは従来、ハイブリッドクラウド環境のサポートを進めてきたが、今回は、オンプレミスで提供してきたインテリジェンスを主要クラウドでも利用可能にする取り組みに触れた。

 まず、Google Cloud NetApp Volumesでブロックストレージ機能が利用可能になった。「これにより、すべてのGoogleデータセンターで、世界最高水準のマルチプロトコルデータストレージ環境を活用できる」と語る。仮想化、セルフマネージドデータベース、AIワークロードなどに対応する。

 さらに、これまでAmazon Web Servicesでサポートされてきた2つのNetApp技術が、Google CloudやAzure NetApp Filesでも利用可能になった。データ複製・災害復旧を担う「SnapMirror」と、複数クラウド間でデータを自動同期するキャッシュ技術「FlexCache」だ。

 クリアン氏は、これらの機能によって、NetAppが掲げる「グローバル・ハイブリッドクラウド・ネームスペース」の実現に近づくと説明した。あらゆるクラウドをまたぐかたちで、企業のデータ資産を単一のネームスペースで統合管理するという構想だ。「他社は実現できない」とクリアン氏は断言する。

 具体的にはどんなことが実現するのか。例えば、FlexCacheにより、ファイルをどこか一カ所に置くだけで、AWS、Google Cloud、Azureのいずれにも自動的にファイルが同期され、読み書き可能な状態になる。しかも、実際にアクセスするまでデータのコピーが発生しないため、大きなストレージ容量を消費せず効率的だ。

 「アプライアンスもゲートウェイも不要。あらゆる場所でデータが同期され、共通のメタデータファブリック、共通のネームスペースの下で管理できる」とクリアン氏は語る。ヨーロッパでは、データ主権規制への対応としてすでに試験導入が始まっているという。

ハイブリッド/マルチクラウド環境をグローバル・ネームスペースで統合できる

 最後に、クリアン氏はサイバーレジリエンスについて語った。

 NetAppでは、99%以上の検知精度を誇る自律型のランサムウェア保護機能を提供してきたが、今回新たに3つの機能を発表した。検出・保護・復旧を統合管理する「ランサムウェア・レジリエンス・サービス」、データ窃取をリアルタイムで検知しブロックする「データ漏洩検知」、そしてマルウェアを除去した上でクリーンなデータを復旧する隔離環境「クリーンルーム」だ。日本市場向けに、これらの機能を4月24日まで無償で提供する特別施策も発表している。

 クリアン氏は、「インテリジェント・データ・インフラストラクチャとは『データの置き場所』のことではない。データがどう動き、どう管理され、どう変換され、重要な成果を生み出すために活性化されるかということだ」と総括した。

 「データがインテリジェントになるとき、より大きなことが起きる。NetAppは、顧客の才能を解き放つ」。

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