先行ユーザーによるAI AgentStudio導入の手ごたえや課題
“現場で役立つ”AI活用をオラクルの業務SaaSで エージェント開発に挑戦する国内企業の第一報
2026年02月13日 13時15分更新
2025年は「AIエージェント元年」と呼ばれ、業務アプリケーションにおいてもエージェントの実装が進んだ年となった。一方で、標準搭載のエージェントでは、企業固有の業務プロセスや課題に対応しきれないケースも少なくない。こうした現状に応えるのが、オラクルの業務SaaS「Fusion Cloud Applications」のエージェントを作成・カスタムできる「AI Agent Studio」だ。
オラクルは、2026年2月10日、AI Agent Studioに関する説明会を開催。ユーザー企業のファイントゥデイ、ユーコット・インフォテクノ、そして、パートナー企業の中本・アンド・アソシエイツが登壇し、同ツールを利用したAIエージェント開発の手ごたえや課題などを共有した。
AI Agent Studioについては、日本オラクル 理事 クラウド・アプリケーション事業統括 アプリケーション・ソリューション戦略統括 インダストリー&事業戦略本部 本部長 中山耕一郎氏(左)とクラウド・アプリケーション事業統括 アプリケーション・ソリューション戦略統括 インダストリー&事業戦略本部 AI推進 小野俊隆氏(右)が説明した
業務SaaSにネイティブ統合されたエージェントを“ビジネスに最適化”
オラクルは、インフラストラクチャーからデータベース、アプリケーションという各レイヤーのクラウドにおいてAIエージェントの実装を進めている。今回フォーカスされたのはアプリケーション領域、業務SaaS「Fusion Cloud Applications」上で働くエージェントである。
日本オラクルの中山氏は、この業務SaaSに実装されたエージェントの強みとして「ネイティブ統合」を挙げる。これは、業務プロセスにシームレスに統合されているのに加え、“ビジネスデータがある場所”に統合されているという意味だ。 「多くのアプリケーション領域のAIは、AIのためにデータを用意しなければならない。 Fusion Cloud ApplicationsのAIはその手間を必要としないのがシンプルかつ大きな違い」(中山氏)
こうしたFusion Cloud Applicationsに組み込まれたAIエージェントは、既に400を数える。そして2025年には、自社のビジネスに最適化したエージェントを作成・カスタムするための開発基盤「AI Agent Studio」も追加された。
このAI Agent Studioでは、オラクルの開発部門が実際に使っている環境が提供される。そのため、企業のAI活用に必要な仕組みが裏で担保され、開発者はUXや開発者体験に集中できる。
「エンタープライズでAIエージェントを導入する場合、細かいところまで配慮しなければならない。ビジネス要件に合わせ、ガバナンスを効かせ、テストや精度も考慮する必要がある。AI Agent Studioであれば、これらすべてが担保されている」と小野氏。なお、実装されているエージェントや開発環境を追加費用なく利用できるのも特徴だ。
こうして開発環境は整ったものの、実際に作るには知見やノウハウが不可欠だ。そこで、それを補完するための「エコシステム」の構築も進めている。現在、国内パートナー11社がAI Agent Studioの技術者の育成と共に、テンプレートやアセットの開発やコンサルティングを展開していく予定だ。
加えてオラクル側から、「学びの場」も積極的に提供していく。2026年4月からは、AI Agent Studioによるハッカソンを展開。加えて、ユーザー企業とパートナー企業が密に情報交換するための勉強会も実施している。今回の説明会では、勉強会に参加した「ファイントゥデイ」「ユーコット・インフォテクノ」「中本・アンド・アソシエイツ」が登壇し、AI Agent StudioによるAIエージェント開発の進捗を共有している。
ファイントゥデイ:新たなインターフェイスとして手ごたえも連携・共創の重要さを確認
最初に登壇したのは、資生堂のパーソナルケア部門から生まれ、「TSUBAKI」「uno」といったブランドの販売・製造を手掛けるファイントゥデイだ。同社は、2021年Fusion Cloud Applicationsをグローバルで大規模導入しており、主に開発・製造・販売・サプライチェーンなどの基幹業務に利用している。他のSaaSと組み合わせた「サービスインテグレーション」でシステムを構築しているのもポイントだという。
こうして導入したFusion Cloud Applicationsが安定化する中でAI Agent Studioが発表された。 同社のIT本部 BITA1部 Vice Presidentである小室英彦氏は、「結果的にAIレディな状態になり、自社のビジネスや業務データを理解したIT部門のメンバーがAIを開発できる環境が整った」と振り返る。
一方で、このAIエージェントの価値を最大化するには、「連携・共創が不可欠」だと小室氏。そこで参加したのが、ユーザー企業・パートナー企業・オラクルが三位一体となったワークショップ形式の勉強会だった。
この勉強会の成果として開発したのが、簡易的な4つのエージェントである。具体的には、在庫情報および製品情報を取得するデータ照会型、そして、在庫補充および在庫移動を登録するデータ作成型のエージェントだ。
このPoCで、エージェントの特性や適合する業務を見極めると共に、標準画面の操作とくらべて作業時間を短縮でき、帳票に変わる効率的なインターフェイスとして手ごたえを得ている。
一方で浮き彫りになったのが、業務プロセスに組み込もうとすると一気に難易度が上がるという課題だ。さらに、プロンプト設計が応答品質に大きく影響を与えることも分かったが、先行事例が不足しており、やはり連携・共創が鍵になると痛感したという。
現在は、調達・購買業務をターゲットに、定例業務をサポートするエージェントを開発中だ。最終的には、領域を特定せずに、完全自律型のエージェントが定例業務を自動化する世界を目指していく。















