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先行ユーザーによるAI AgentStudio導入の手ごたえや課題

“現場で役立つ”AI活用をオラクルの業務SaaSで エージェント開発に挑戦する国内企業の第一報

2026年02月13日 13時15分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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ユーコット・インフォテクノ:ERPに不慣れな現場のハードルを下げ、タイムラグ削減につながる

 続いては、コーヒービジネスを手掛けるUCCグループでICTを担う、ユーコット・インフォテクノが登壇した。UCCグループでは、サプライチェーン領域でFusion Cloud Applicationsを導入していたが、業務の処理や判断における属人化の壁にぶつかっていた。

 こうした中でAI Agent Studioが登場。AIエージェントにより作業が効率化するだけではなく、属人化している判断の前処理も担うことで、標準化の推進につながることを期待したという。

 同社のビジネスデザイン&ソリューション本部 マネージャーである馬場滉也氏は、AI Agent Studioにより、「現場で本当に役立つエンタープライズAI」の実装を目指していると語る。そして、勉強会の参加を経て取り組むのが、現場担当者との密な連携で小さく価値検証を進める「市民開放型」のアプローチだ。「AIが加わることでこれまでの業務プロセスは変わっていく。こうした中では、現場とITとAI、三位一体で役割を再設計することが重要になる」(馬場氏)

ユーコット・インフォテクノ ビジネスデザイン&ソリューション本部 マネージャー 馬場滉也氏

 最初の適用対象には購買領域を選択し、サプライヤーの選定や価格登録、発注における異常発生アラートといった購買プロセスに伴走するAIエージェントの開発を想定した。

 そして現在検証中なのが、発注状況をリアルタイム照会するエージェントとオーダーの更新やキャンセルといったオペレーションを代行するエージェントだ。「このエージェントで、製造現場から購買担当者への確認のプロセスがなくなり、ERPの操作が苦手な担当者のハードルが下がる。タイムラグの大幅削減に期待できる」と馬場氏。

購買領域のAIエージェントを検証中

 今後は、購買領域におけるエージェントの役割を広げつつ、次段階では購買と密接する支払い領域にもエージェントを実装。ゆくゆくはSCM全体へと適用領域を広げていく予定だ。

中本・アンド・アソシエイツ:エージェント開発にも“パートナーとして培ってきた知見”が活きる

 最後に登壇したのは、パートナー企業として勉強会に参加した中本・アンド・アソシエイツだ。同社は、オラクルのERP専業パートナーとして30年以上の実績を有し、2025年に丸紅I-DIGIOグループの一員となったばかりである。これまで23か国150社のクラウドERPプロジェクトを手掛ける中で、ERPだけでは解決できない課題に対応すべく、早々にAI活用に取り組んできたという。

 同社の執行役員である小西明宏は、AI Agent Studioについて、「標準の生成AI機能は、日本企業特有の痒いところにはどうしても届かない。どう解消するかと悩んでいる所に、開発環境としてAI Agent Studioが登場した。標準で用意されたLLMだけではなく、これまで使っていたLLMも呼び出せる門戸の広さがありがたい」と評する。今回は、技術習得の初期からユーザー企業と模索すべく、勉強会に参加している。

中本・アンド・アソシエイツ 執行役員 小西明宏氏

 同社が勉強会で作成したのが、Order to Cach(受注から売上回収)に特化したエージェントだ。まずは、AI Agent Studioの理解を目的にデータを可視化するシンプルなエージェントを作成。これは、オーダーの詳細を問い合わせると、受注・出荷・請求・入金までの情報を一括で提示してくれるエージェントだ。

オーダーの詳細を問い合わせるAIエージェント

 このエージェント作成から得られた学びは、エージェントの開発はBIP(Business Intelligence Publisher)レポートの設計に似ていること、エージェントを制御するにはプロンプトが重要なこと、そして、REST APIの仕様や業務フローへの理解など、これまでパートナーとして培ってきた知見が活きるということだ。同社のエンタープライズシステム事業部 シニアプリンシパルコンサルタントであるペリー・プブリコ氏は、「AIエージェントを実装して終わりではなく、プロバイダー、カスタマー、パートナーが一緒に育てていく業務基盤」と語り、締めくくった。

中本・アンド・アソシエイツ エンタープライズシステム事業部 シニアプリンシパルコンサルタント ペリー・プブリコ氏

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