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及川紗利亜、シミュレーターを武器に6時間耐久レースへ! Dream Cup 2025で感じた“準備”の重要性

2026年02月08日 18時00分更新

文● 及川紗利亜 写真●小瀬広明

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 みなさん、初めまして。及川紗利亜(おいかわ・さりあ)です。そして、以前ASCII.jpの記事で私を知ってくださった方は、またお読みいただきありがとうございます(究極のデジタルライフとカーライフの両立 歯科医レーサーの及川紗利亜がビッグローブ光10ギガタイプで実現)。

 これまで、KYOJO CUPやTGRラリーチャレンジ、全日本ラリーなど、さまざまなカテゴリーに挑戦してきました。今シーズンも、全日本ラリー(MORIZO Challenge Cup)とKYOJO VITAで戦っていきます。

 一方で、平日は歯科医師として診療をしています。少し異色な経歴としては、2022年にミス・ユニバース・ジャパン準グランプリを受賞した経験もあります。一見バラバラに見えるこれらの挑戦ですが、私の中ではすべて「準備を重ねて、本番に臨む」という一点でつながっています。

 今回は、富士スピードウェイで1月31日に開催された「GOODYEAR Dream Cup 2025」を題材に、シミュレーターを活用した準備や、モータースポーツの楽しさをドライバー目線でお伝えしたいと思います。

走れない時間をどう使うか?

 GOODYEAR Dream Cup 2025は、6時間の耐久レースです。限られた準備期間の中で、どうやって本番に備えるかが、今回の大きなテーマでした。平日は、歯科医師としての診療もあるため、「少しサーキットに行ってテスト走行」ということが簡単にできる環境ではありません。そのため、時間の使い方はとても重要になります。

 さらに、実車でテストをするとなると、どうしても費用もかかります。そこで活躍したのが、自宅に設置したレーシングシミュレーターです。シミュレーターを活用することで、コストを抑えつつ、効率よくレースに備えることができました。

 シミュレーターでは、富士スピードウェイのコース確認に加え、コンピューター制御の他車と一緒に走らせる「AIレース」を行ない、耐久レース特有のトラフィックの中でのクリーンに走るための判断やペースを維持して走ることを目的に練習しました。

初めてのヤリスカップカーに合わせこむ

 今回の参戦マシンであるヤリスカップカーは、私にとって初めて乗る車でした。そのため、まずは安定したペースで周回を重ねることを目標に、シミュレーターで富士スピードウェイのコースを重点的に練習しました。

 実際の走行では、自分が目標としていたタイムも、パッと乗ってすぐに出すことができ、シミュレーターでのトレーニングの成果を強く感じました。

 視界の使い方や集中力の保ち方、そしてペースを大きく落とさずに走り続けることを意識してきたことが、本番での落ち着いた走りにつながったと思います。

3画面シミュレーターとベゼルフリーキット

 私が使用しているシミュレーターは、3画面の平面ディスプレイ構成です。ベゼルフリーキットを装着することで、ディスプレイ間の境目が気になりにくくなり、視界が自然につながるため、没入感が大きく向上しました。

 コーナー進入時やブレーキングポイントを探る場面でも、視線をスムーズに使える点は、大きなメリットだと感じています。

給油のタイミングと燃費計算

 今回のGOODYEAR Dream Cup 2025で強く感じたのが、給油のタイミングと燃費計算の重要さです。耐久レースでは、ただ速く走るだけではなく、「いつピットに入るか」「どれくらい燃料を使っているか」を常に意識する必要があります。

 さらに、給油所が混んでいないかを事前に確認をしたり、他チームの動きやピットの状況を見ながらタイミングを判断することも重要でした。

 給油は決められた手順とルールの中で行なわれるため、タイミングや安全確認など、気を配ることもたくさんあります。走行と同時に、チーム全体で状況を共有しながら進めていく感覚は、まさに耐久レースならではだと感じました。

 正直、簡単ではありませんでしたが、走るだけではない「考えるレース」の面白さを強く実感した場面でもありました。

チームで走り切った6時間

 今回の予選を担当したのは、ASCII.jpにも寄稿している西川昇吾さん。モータージャーナリストとして活躍されており、日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務めています。

 決勝では、私が2番目と5番目のスティントを担当しました。予選は70台中36位(クラス19位/39台中)、決勝はクラス31位でチェッカーを受けました。

 耐久レースでは、単純な順位以上に、各スティントでどれだけ安定した走行を積み重ねられるかが重要になります。今回のチームは、若手メディアチームということでお声がけいただきました。メンバーはみんなライターという、少し珍しい編成です。

 それぞれが自分の役割を理解し、担当スティントをしっかりとつないでいく。チーム内で役割を分担しながら、全員が自分の仕事をこなせたことは、今回のレースの大きな収穫でした。

マシンに描かれた“羽の生えた靴”

 今回乗ったマシンのサイドには、靴に羽が生えたデザインが描かれています。これは、グッドイヤーのブランドロゴ「ウイングフット」のモチーフで、ローマ神話に登場するマーキュリー(ヘルメス)に由来するものです。

 スピードや俊敏さの象徴でもあるこのモチーフには、「このクルマに乗ると、その後大きく飛躍していく」というジンクスがあるそうです。

 耐久レースという長い戦いの中でも、この“羽の生えた靴”に背中を押してもらっているような気持ちで、一周一周を大切に走っていました。

準備にどれだけ時間を割くかが安心感につながる

 今回のレースを通して強く感じたのは、準備がそのまま安心感につながるということです。シミュレーターは100%実車の代わりになるものではありませんが、「こういう状況、見たことがあるからこうしよう」という引き出しを増やしてくれます。

 いろいろな展開を事前に想定できたことで、本番は落ち着いて走り切ることができました。

 GOODYEAR Dream Cup 2025は、走る楽しさだけでなく、準備やチームワークの大切さを改めて教えてくれる耐久レースでした。

次の挑戦はモリゾウチャレンジカップにシリーズ参戦

 そして、私の挑戦は今シーズンも続き、フィールドはサーキットからラリーに変わりますが、全日本ラリー(MORIZO Challenge Cup)にウェルパインモータースポーツからシリーズで参戦予定です。昨年はスポット2戦のみの参戦でしたが、今年はシリーズで戦っていきます。ぜひ皆さん応援よろしくお願いしますね。

 このクルマのジンクスにあやかって、飛躍の一年にできたらいいなと思っています。

■関連サイト

筆者紹介:及川紗利亜(おいかわ・さりあ)

歯科医師/レーシングドライバー
2022ミス・ユニバース・ジャパン準グランプリ
Smile Asia ブランドアンバサダー

 大学時代に自動車部へ入部し、マツダNB型ロードスターでのサーキット走行やカートレースを経てモータースポーツの道へ。
2024年よりKYOJO CUPに参戦。
2025年はFCR-VITA(KYOJOクラス)、TGRラリーチャレンジ、全日本ラリーに参戦。
2026年は、全日本ラリー・MORIZO Challenge Cup、KYOJO VITAに参戦予定。

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