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フジテレビ、F1国内独占配信の舞台裏——DAZN撤退と「生き残りを賭けた」巨額契約の真相

2026年02月04日 12時00分更新

文● 石川 温 編集●ASCII

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 2025年12月5日、フジテレビが2026年から2030年の5年間、F1を国内独占配信すると発表した。

 また今日4日、国内の料金プランと、実況のサッシャ氏を起用したことも発表された(2026年のF1はFODで没入! サッシャ実況&川井ちゃん解説を選べて月3880円から)。

DAZN撤退と「独占配信」への転換

 フジテレビは1987年からF1を中継してきたテレビ局だが、2016年からはDAZNも日本国内でF1を配信していた。F1ファンはフジテレビとDAZN、2つのサービスでレースを楽しむ環境が整っていた。 しかし、フジテレビが国内でF1の独占配信権を得たことで、DAZNはF1配信からの「撤退」を余儀なくされた。

 DAZNではラジオパーソナリティーやナレーターでおなじみのサッシャ氏と、元F1ドライバーである中野信治氏の解説でF1中継を楽しんでいた人も多く、DAZN撤退を惜しむ声も上がっていた。SNS上で「DAZN派」と「フジテレビ派」が激しくバトルしていたこともあった。

 なぜ、フジテレビはこのタイミングでF1の国内独占配信権を獲得しにいったのか。

放送から配信へ──野村室長が抱いた「CS放送の危機感」

 実際にF1との交渉に当たった、野村和生 コンテンツ事業局プラットフォーム事業センター室長は「(Netflix効果もあり)F1が世界的に人気が高まる中、放送権の契約更新時に放映権料が高騰するおそれがあった。一方、CS放送やケーブルテレビなどの有料放送はネット動画配信に顧客を奪われており、縮小傾向がある。放送事業単体では放映権料を支えきれないため、生き残りを賭ける意味で配信を強化する策をとった」という。

フジテレビジョン コンテンツ事業局プラットフォーム事業センター室長 野村和生氏(右)と、コンテンツ事業局プラットフォーム事業センター ペイTV事業部 部長 永竹里早氏

 野村室長がそうした発想の転換に踏み切れたのは、野村室長が当時、CS放送と動画配信サービス「FOD」の2つを見る立場にいたという点が大きい。CS放送とFODが別組織だったり、子会社であったりしたら、こうした大胆な戦略は打てなかっただろう。

 もうひとつ、フジテレビとしてジレンマを感じていたのがライバルであるDAZNの存在だ。

 「フジテレビの地上波でF1を取り上げて盛り上げたかったのだが、そうすると視聴者がF1に関心を持ってくれても、CS放送ではなく、DAZNを契約してしまう。地上波からFODという流れを作るうえでも、独占配信は避けては通れなかった」(野村氏)。

2024年鈴鹿から始まった
ロンドンのF1本部とのタフな交渉

 フジテレビでF1を独占配信したい。

 野村室長とCS放送を管轄する永竹里早コンテンツ事業局プラットフォーム事業センター ペイTV事業部 部長がF1と交渉を始めたのは2024年4月、鈴鹿サーキットで開催されたF1日本グランプリの現場だ。

 フジテレビとしては、F1中継だけでなく、日本で配信されていない、各マシンのオンボード映像がすべて視聴できる「F1 TV pro」「F1 TV Premium」の配信もやりたいと提案したのだった。同年11月には、F1の本拠地があるロンドンにも出向き交渉を続けた。契約金は当初、想定していたものよりもはるかに膨らんでいたが、交渉を続けることができていた。

 そんななか、約1年前の2025年1月、世間の関心を集めた「フジテレビ問題」が勃発する。

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