富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は1月13日、FMVシリーズの新製品発表会を開催した。
FMVは2024年1月にブランドを刷新して以降、「シンプル」「時代に合った価値観」「日本人の暮らしを応援する」という3つの軸で展開してきた。2026年初となる同社の発表会では、ハード×アプリ×サービスの三位一体でユーザーのAI体験をサポートするというメッセージが強く打ち出されていた。
Copilot+ PCを全方位で展開
2026年春モデルでは、モバイルノートからデスクトップまで、FMVの主要ラインアップをCopilot+ PCとして刷新した。すべてNPUを搭載し、AI処理をローカルで高速に実行できる構成とすることで、「クラウド前提ではないAI体験」を標準に据えている点が大きな特徴だ。
モバイルの主役となるのが、Snapdragon Xを搭載したFMV Note Uシリーズの「UQ-L1」だ。最大41時間という長時間駆動に加え、Web限定モデルでは最軽量634gという世界最軽量クラスの構成も用意される。
同じUHシリーズでも、インテルCore Ultra(シリーズ2)を搭載する「U59-L1」は、タッチパネル対応が特徴となる。レポート作成やオンライン授業、資料閲覧といった用途を想定し、学生や若年層の使い方を強く意識した構成だ。
16型ディスプレイを備えるNote Pも展開。2026年春モデルの「P75-L1」は、画面の見やすさと持ち運びやすさのバランスを重視したモデルで、仕事とプライベートの両立を想定している。大画面ながら取り回しを意識した筐体設計に加え、Copilot+ PCとしてAI機能を日常業務に自然に組み込める点が特徴だ。
パフォーマンス重視のノートとしては、AMD Ryzen AI 300を搭載した「A79-L1」(Note A)が用意された。Note Aシリーズ初のCopilot+ PCでもある。500cdの高輝度ディスプレイを備え、明るい場所でも視認性を確保している点に加え、AI処理を前提とした冷却設計が特徴だ。排熱の逆流を防ぐヒートプロテクト構造をはじめ、内部構造はエンジニアがゼロから設計し直したという。
「FMV Desktop F」シリーズでは、27.0型と23.8型の大画面液晶を搭載した3機種を展開。パイオニア製のサウンドシステムを搭載し、映像視聴や音楽鑑賞といったエンタメ用途にも配慮した構成となっている。大画面での作業やAIを活用したクリエイティブ用途、そして日常のエンタメまでを1台でこなす、“家庭の中心に置くAI PC”という位置付けが明確だ。
各モデルの詳細についてはこちらの記事も参照のこと。
AIを“生活体験”に変える独自アプリ
今回のFMV 2026年春モデルでは、AI体験の中心をなすアプリ群が大きく進化している。単にAI機能を搭載しただけでなく、日々の暮らしの中で「いつの間にか使っている」レベルへと落とし込む工夫が随所に見られた。
その代表例が、「FMV AI スマート動画編集」だ。FMVでは、写真や動画の整理・編集をこれまで以上に手軽にするために、AIベースの機能を複数組み合わせた独自アプリを搭載している。
なかでも「Reclip」は、撮影した映像や静止画をAIが自動で解析し、日付・人物・場所・イベントごとに整理表示してくれる。旅行や行事の写真を日付順に並べ替えるだけでなく、人物やロケーションに基づいてまとめてくれるため、目的の素材へ素早くアクセスできるようになっている。そこから「ハイライト動画を作りたい」シーンを選べば、音楽や字幕付きの動画が自動生成される仕組みだ。
さらに、FMV独自のAIアプリとして「FMV AI Mate」も紹介された。こちらは、パソコンの操作や困りごとをチャット形式で相談できるサポートAIで、FMVのQ&Aデータベースを基にユーザーの悩みに即座に回答する。単なるFAQ検索ではなく、ユーザーの状態や操作履歴に合わせた適切な助言をしてくれるため、初心者でも安心して使いこなせる設計だ。
FMV AI Plus+について
AI体験のもう一つの柱が、「FMV AI Plus+」というサブスク型サービスだ。このサービスは、文章・画像・音声など多様なAI機能をワンストップで使い放題で提供する、いわば“オールインワンのAIプラットフォーム”となっている。
発表会で強調されたのは、FMV AI Plus+が単なるAIジェネレーターの集合ではない点だ。利用者の目的や場面に合わせて、最適なAI機能や活用例を自動で提案してくれる仕組みが組み込まれている。
具体的には、トップ画面で用意された複数のシーン(例:「仕事」「学習」「趣味」「日常の困りごと」など)を選択すると、300以上のユースケースから適切なAIツールやテンプレートがカード形式で表示される。
カードを3クリックほど進めるだけで、ユーザーがやりたいことにたどり着けるよう設計されており、プロンプトを書かなくても操作できる導線が特徴だ。
FMV AI+ のメニューには、文章の要約・翻訳、画像生成、音声認識・文字起こしなど、多彩なカテゴリーが揃っている。また「AI Talk」というオリジナル機能では、AIキャラクターとの対話を通じて日常的な相談やアイデア出しを楽しむことも可能になる予定だ。。
料金体系は、FMV プレミアムサービス会員向けと一般ユーザー向けの2段階で用意されるほか、リリース記念として加入月のキャッシュバックやSNS投稿キャンペーンなどの特典も発表された。
AIも同じように時代に溶け込んでいく
発表会ではクロストークセッションも実施され、AIと人間の関係性について踏み込んだ議論が行われた。
目指すのは、操作ツールとしてのAIではなく、ユーザーの行間を読み取る“空気を読むパートナー”だという。「こうしたい」と一言ぼやくだけで、その裏にある意図や理想をくみ取ってくれる存在だ。
動画編集ソフトを覚えることが目的ではなく、いい動画が完成することがゴール。その間にある面倒な工程をAIが引き受けるといった未来像が語られた。社長も、かつて「インターネット対応」を強調していた時代が過ぎ、今では空気のように溶け込んでいると振り返り、AIも同じ存在にしていきたいと語った。

























