USB Type-Aが「旅の必需品」でなくなった日
筆者は以前、CIOのUSBモバイルACアダプタ「NovaPort TRIO」を購入し、出張や旅行の定番として使ってきた。Type-C×2、Type-A×1という構成は、数年前までであれば非常にバランスが良かったからだ。
しかしここ1~2年で、筆者が旅に持ち出すデバイスは大きく変わった。スマートフォン、タブレット、モバイルPC、スマートウォッチ、イヤフォン、カメラ周辺機器まで、屋外で使うデバイスはほぼすべてType-C対応になったのである。
もちろんType-AーType-CのようなUSBケーブルが必要な状況も存在するが、それは自宅中心となっている。結果として、出張や旅行時に携帯する充電環境とNovaPort TRIOのポート構成が徐々に噛み合わなくなってきた。そこで今回の筆者は3ポートすべてがType-Cとなった「NovaPort TRIO II」を買い増しすることにしたのである。
サイズ縮小と重量増、その裏にあった“本当の進化”
NovaPort TRIO IIの基本スペックと変更点
今回衝動買いしたNovaPort TRIO IIは、従来モデルのNovaPort TRIOからType-Aを廃止し、Type-C×3へと刷新されたモデルだ。最大出力は67W(合計65W)で、USB PD/PPSに対応。スマートフォンからノートPCまで幅広くカバーする。本体サイズは従来モデルよりも高さ・長さともにわずかに小さくなった一方で、重量は約10g増加している。
プラグのリトラクタブル(折りたたみ)構造は従来モデルと同じで、携行性の面で不満はない。筆者としては、正直なところ「サイズが小さくなり、全ポートType-Cになった」だけでも十分に満足だった。ところが、実際に使い始めてみると、それ以上に重要な進化が隠れていることに気付いた。
新幹線という“特殊環境”で露わになるACアダプタの弱点
筆者は東海道・北陸新幹線を利用して出張や旅行をする機会が多く、車内での充電は日常茶飯事だ。しかし新幹線車内のコンセント環境は実はかなりクセがある。
東海道新幹線で約7割を占めるN700A系では、コンセントは窓側足元に1口のみ。新型のN700S系ではアームレストに各席1口が用意されているが、出入り時にケーブルが引っ掛かりやすい微妙な位置でもある。一方で北陸新幹線のE7系では前席下に配置されており、比較的使いやすい。
こうした環境では、ACアダプタの奥行き・重量・重心が致命的な要素になる。ポート数が多く大型で奥行きのあるアダプタほど、振動やケーブルの引っ張りで抜け落ちやすいのは当然だ。
理想は2台持ち、だが現実は「1台で済ませたい」
筆者は長年、新幹線車内用に超小型・1ポートのPDアダプタ、宿泊先用に3ポートクラスの多少大型のPDアダプタの2台を使い分けてきた。
その超小型の代表が、CIO Mate Charger 2(30W)である。約31×31×32mm、重量51gという超小型軽量設計に加え、プラグ根元がわずかに太くなる“脱落防止構造”を備えていた。この小ささ、軽さ、そして構造が、N700A系の不安定な窓側足下コンセントで絶大な効果を発揮していたのである。
しかし、あちこちで忘れモノをしないためにも荷物は少ないに越したことはない。そこで今回、筆者は「新幹線でもホテルでも1台のUSB ACアダプタを使う」という割り切りをし、NovaPort TRIO IIを主力に据える決断をした。
決め手は0.4mm……数字で裏付けられた脱落防止
重量級デバイスでも揺るがない安定感
NovaPort TRIO IIを選んだ最大の理由は、ブレード根元の脱落防止構造がCIO Mate Charger 2(30W)から継承されていた点にある。購入後、電子ノギスでブレードを測定したところ、金属部分が約1.43mm、根元の厚みが約1.83mm。約0.4mmの差が設けられていた。このわずかな差が、コンセントとの摩擦を生み、抜け落ちを防ぐ。
実際に東海道新幹線で東京―大阪を往復し、さらにホテル1泊を含めた2往復の行程で使用したが、走行中・ケーブルを動かした際も脱落は一度も発生しなかった。
帰宅後にブレードを見ると、摩擦による黒ずみが確認でき、コンセント側がしっかりと噛み合っていたことが分かる。
宿泊先のホテルでは、ベッドサイドのコンセントにNovaPort TRIO IIを挿し、Type-Cケーブルを2本接続。さらに最上段ポートには、Galaxy Watch Ultra+金属ブレスを載せたType-C直差しワイヤレスドック(総重量実測158g)を接続してみた。結果は、こちらも問題なし。重心が外側に寄っても、脱落する気配はなかった。

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