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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第136回

画像生成AIの歴史を変えたNano Banana “一貫性の壁”が突破された2025年を振り返る

2025年12月15日 07時00分更新

文● 新清士

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ゲームのイメージ動画がAIで作れるように

 では、業務用途としてはこの1年でどれくらい“使える”ようになったのかを考えてみましょう。これは筆者が、2026年前半にリリース予定で開発中のゲーム「Exelio - エグゼリオ」に登場するキャラクターのカエルの画像です。2023年春頃にデザインした頃は、当時の画像AIの技術では、キャラクターの背面を作るのに苦労していました。しかし、今年の3月ごろには、3D画像から背面のサンプルを作れるレベルにまで進んでいました。ただし、それでも修正が前提となる水準でした。

3Dモデルの発注用資料として利用したカエルのキャラクターデザイン。当時はMidjouneryとStable Diffusionを組み合わせて作成して、アーティストが修正仕上げている。実際に完成した3Dモデルが右端

今年3月頃に、Gemini Flashで生成した3Dモデル(左上)から作成した側面図(中央)と背面図(左)

 ところが、12月リリースのNano Banana Proでは三面図に表情差分までつけた完璧なキャラクターシートができるようになりました。そして、その画像を使えばゲーム内の実際の画像がなくとも、イメージ画像も、さらにはイメージ動画までも作り出すことができます。今年、大きな技術変化が起きたことが実感できます。

 もし現在、同じ作業をもう一度するならば、初期コンセプトの作成時期に、こうした動画でかなり具体的なイメージをチーム内で共有する作業をするだろうと考えます。

Nano Banana Proで作成した三面図と表情差分。入力画像は中央上のイメージのみ

Nano Banana Proで作成した三面図を元に生成したコンセプト画像。プロンプトは「画像1を参考にジャングルの中を進むメカカエルの姿を描いてください。3DCG、Unreal Engineのレンダリング。2.5D。様々なポーズを取って」

△生成した様々なイメージ画像をGrok Imagineを使って動画化したもの

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