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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第136回

画像生成AIの歴史を変えたNano Banana “一貫性の壁”が突破された2025年を振り返る

2025年12月15日 07時00分更新

文● 新清士

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ローカル動画生成AIは「Wan 2.2」が決定打に

 4月には、画像生成AIサービスの定番「Midjourney」が動画に対応。実写系のみならず、アニメ系の描写でも品質が高く、画像生成のシステムと統合されており、操作が簡単なことで話題になりました。また価格設定も安価であったことが評価を集める要因となりました。ただ、その後に大きなアップデートをかけているわけではないため、最近ではやや微妙に感じられるようになっています。(参考:Midjourneyの動画生成AIが強い 驚きの高性能で価格破壊

Midjourney Videoで生成した、この連載のモデル「明日来子(あすきこ)」さんのスクリーンショット

△Midjourney Videoでの明日来子さんの動画

 同じ4月に、天才的なAIツール開発者のIllyasviel氏が投入し、革命的だと話題になったのが「Framepack」。Hunyuan Videoを拡張して、VRAMわずか6GBのGPUでも動かせる動画生成AI技術ということで大きく注目されました。最終フレームから推定して、全体の動画を推定することで、ローカルPC上でも30秒といった長い動画の生成も可能にするという画期的な技術でした。Framepackの方法論自体はそこまでは定着しませんでしたが、ここで“一貫性”が大きく注目され、動画生成AIの技術をいかに使って、人物などの一貫性を出すかという研究がユーザー間でも進んでいくきっかけとなりました(参考:“イリヤ神”がまたやった 動画生成AI「FramePack」が革命的なワケ)。

Framepackを使って生成した30秒動画のスクリーンショット。手などが潰れている苦手な部分はあるが、当時は画期的だった

△Framepackで生成した30秒動画

 その後、動画生成AIが大きく動いたのは7月です。アリババがリリースした「Wan 2.2」のインパクトはとても大きく、いまだにローカル上では最強クラスです。今年、画像・動画AIではオープンモデルを公開する動きでは、中国企業が席巻しています。特に、積極的に展開しているのが、アリババで、2月にリリースした「Wan 2.1」でも高い評価を得ていたのですが、Wan 2.2はさらに性能向上がなされていました。(参考:無料の動画生成AI「Wan2.2」が凄すぎる PCローカルでこの品質が出せるとは

 さらに、ControlNetに対応してダンスアニメーションを実現する「Wan 2.2 Fun Control」、音声のリップシンクを実現する「Wan2.2 S2V」など様々な派生モデルが登場しています。(参考:動画生成AI「Wan2.2」の進化が凄い アリババが無料AIモデルの牽引者に

Wan 2.2で生成した明日来子さんが銃を構える動画から

△Wan 2.2で生成した明日来子さんの銃の動画

Wan 2.2 Fun Controlでダンス動画(右)の動きを抽出(中央)、明日来子さんに適応している(左)様子

△Wan 2.2 Fun Controlで生成したダンス動画

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