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「ミライアップデート・ラボ 2025 by ASCII」開催レポート

中小企業が“AIを味方にする”秘訣は「やってみよう」の気持ち 現場視点のパネルディスカッション

2025年11月25日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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そのAI活用は「みんな」を幸せにするのか? という視点も大切

 そして、最後のテーマは「生成AIやAIエージェントは 中小企業の味方なの?」でした。皆さんそれぞれ、どう感じているのでしょうか。

 松下さんは、現在のAIについて、かつてインターネットが登場したときと同じくらいのインパクトを感じており、中小企業でも使い込んでいけば「人を一人雇うのと同じくらいの効果があるのでは」と語ります。

 野口さんはもっと大胆に、「僕個人はもう『AIを味方にしないと(会社が)死んじゃうよね』くらいの感覚でいます」と言います。ただし、社員一人ひとりがAIに自然と親しむような仕組みを用意しないと、「中小企業の味方」にはなかなかならないかもしれない、ともコメントしました。

 「新しい技術の導入を提案すると、『これまでのやり方でもよいのでは』と抵抗されることがあります。その際に『いや、新しいやり方でやってください』と押し切ることもできますが、もうひとつの方法が『働く人にベネフィットが生まれるようなシステム』を作ること。うち(CLOVER)では、『ふつうの人が“できる人”と同じだけのケア業務ができるようになる』というコンセプトでシステムを作っています。きっと、AIのアプリケーションやエージェントでも同じだろうと思います」(野口さん)

 松下さんも、顧客企業のデジタル化を支援している中では、“デジタル化しても現場の人が幸せにならない問題”に直面することがあるといいます。そのため、管理者が幸せになるだけでなく、現場の人も幸せを実感できる、両方を実現するためのテクノロジーやデータ活用になっているかどうかを考えてほしいと語りました。

 「『誰のためのデータ活用、AI活用なのか』を考えるのは、やはり人間がやるべき仕事です。それさえ忘れなければ、これからたぶん10年くらいは、AIとうまくお付き合いできるのではないでしょうか」(松下さん)

ちなみにこの後、野口さんが、現場スタッフの「シフト表」作成を自動化するにはどうすればよいかを相談し、2人がそれに答える一幕もありました

* * *

 このセッションのまとめとして、モデレーターのアスキー大谷が「今日のキーワードは“意志”だったと思います」と述べました。業務を改善したい、変革したいというやる気、モチベーションさえあれば、開発者であろうとビジネスパーソンであろうと、AIの力を借りながらそれを実現していける時代になったことを実感しました。

 また「そのAI活用は“みんな”を幸せにするものか?」という視点も、とても大切だと思いました。現場が喜んで受け入れてくれるAI活用のあり方については、AIに相談するのもいいですが、現場の声を直接聞くほうが重要でしょう。

 本イベント「ミライアップデート・ラボ」は、このあと第2部に続きました。第2部では「飲食業界のDX」にフォーカスして、識者によるパネルディスカッションを行いました。別の記事で内容をレポートしていますので、こちらもぜひご覧ください!

(第2部ではアイドル・日比野芽奈さんがラーメンを完食したりもします)

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