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深夜の人流が大きく減少している

「二次会行こうぜ」は時代遅れ 若者は早めに集まり、中年は24時までに帰る……アフターコロナで夜の街に変化

2025年10月29日 12時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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 「歓楽街の夜の消費構造」が転換期を迎えている。深夜の二次会主体のモデルから、夜の早い時間に“集中”する若年層の動向、そしてビジネス層の深夜離脱という二極化が進行しているようだ。

 技研商事インターナショナルは、主要歓楽街5エリアにおける2019年と2024年10月~2025年9月の夜間人流データを比較分析した調査レポートを公開した。

 対象エリアは北海道・すすきの、東京都・銀座、愛知県・中区錦三丁目、大阪府・北新地、福岡県・中洲の5地点。

 分析対象期間は、2019年1月〜12月と2024年10月〜2025年9月(18時〜25時)で、滞在時間が30分以上の来訪者を「日ユニーク数」として集計。性別・年代別(20代〜70代以上)も属性分析に含まれている。

 調査結果によると、まず最大の変化として、深夜の人流が大きく減少。特に22時以降、そして0時を過ぎた時間帯でその傾向が顕著だった。

 分析では「一次会終了後の活動縮小」が背景にあると指摘されている。一次会が終了後、そのまま帰宅するという行動パターンが、多くの層に定着しつつあると考えられる。

 また、60歳以上のシニア層では2019年比で人流が「42〜55%」も減少しており、夜間外出の抑制や健康志向の変化がシニア世代で定着しつつある可能性が示唆されている。

 年代別の動きも大きく変化している。20代の若年層は、深夜帯に活動を広く展開するのではなく、18時台を中心に夜の消費を“早め”に集中させる傾向が浮かび上がった。

 たとえば、すすきのでは18時台の20代構成比が+6.5ポイント、銀座では18時30分台で+6.2ポイントと、それぞれ増加している。

 対照的に、30代〜50代の男性ビジネス層では、特に銀座エリアにおいて24時台の人流構成比が‐12.6ポイントと大きく減少している。かつて深夜二次会需要を支えていたこの層の夜の行動が明確に変化しているという分析がなされている。

 この調査結果の背景に、リモートワークの普及、あるいはアフターコロナ期における交際費の削減などの理由を挙げることも可能だろう。

 報告書は、こうした構造的な変化を受け、夜の歓楽街におけるマーケティング戦略の見直しが必要であるとしている。

 従来の「深夜・二次会需要」を前提としたモデルは回復の見込みが低いとされ、代わりに「18時〜21時半」といった比較的早い時間帯における若年層・安定層の需要を捉える施策、あるいは22時以降の時間帯を「ニッチで付加価値の高い深夜営業」に再定義する戦略が提案されている。

 なお、本調査には同社とKDDIが共同開発した人流分析ツール「KDDI Location Analyzer」が活用されており、GPS位置情報ビッグデータおよび属性情報をもとに来訪者属性・行動時間帯を可視化している旨も併記されている。

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