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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第847回

国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手

2025年10月27日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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PEZY-SC4sは年内にサンプル出荷、2026年に量産か

 現時点ではまだPEZY-SC4sは発表されただけで出荷には至っていない(2026年の予定)が、すでに評価用ボードの準備は進んでおり、90ノード構成のシステムでのRpeakは8.6PFlopsとされている。

おそらくテープアウトは済んでいるのだろうが、年内に最初のESチップが出てくるかどうかというあたりだろう

 これがどの程度か?というと、今年6月のTOP500で言えば、例えば181位に入ったAlpha OneがRpeak 7.86PFlops/Rmax 7.62PFlopsになっており、効率(というかRmax)次第では180位前後に食い込む可能性がある。

 90ノードということは、ラックあたり18ノード、5ラック構成だろうか? 冷却システム次第であって、このボードを見ると水冷配管は配慮していないように見えるので、実際にはラックあたり10~12ノードで、3U構成の空冷シャーシに収まる格好になるかもしれない。

 性能に関してはシミュレーションデータであるが、DGEMM、Smith-WatermanおよびMemory Bandwidthの結果が示されている。

DGEMMの効率はPEZY-SC3比で倍以上とされている。効率が99.2%、チップ(の中のPE)の消費電力は212Wとかなり省電力性に優れた結果に。逆に言えば絶対性能そのものはPEZY-SC3とそれほど変わらないかもしれない

生命情報科学の配列解析の分野で使われるSmith-Watermanアルゴリズムの実施結果。PEZY-SC3比で3.5倍もの絶対性能を発揮するとしている

PEとHBMの間の帯域は3TB/秒前後を確保しており、これは悪い数字ではないとは思うが、PEZY-SC4ではDDRのI/Fが省かれたので、HBMに入りきらないほどのデータを処理する場合に性能が大きく落ちそうなのが気になるところ

 同社は今後のプランとしてPEZY-SC5を開発するとしているが、ベンチャーとしてはがんばっているものの2026年出荷では、競合はすでに3nmを使った製品を出してきているわけで、効率はともかく絶対性能という意味では結構厳しい戦いになるかと思われる。PEZY-SC5が登場するころには2nmチップが市場に出ている時期であり、効率性だけで戦えるのか、やや心配なところだ。

3nm or finerとされているが、3nmですらNRE(初期コスト)はシャレにならないほど高い(3nmを利用する200億トランジスタのAIチップの初期コストは6億~12億ドルと見積もられている)だけに、それを同社が負担できるかどうかも気になるところだ

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