宇都宮市上下水道局 清原水再生センターにて実施
あなたの飲む水をAIが見守ってくれるかも? 現場作業員による職人技をIoT/AIで「自動化」
2025年10月02日 12時00分更新
メタウォーターならびにNTT、NTT東日本、エヌ・ティ・ティ エムイーは9月30日、共同で2025年10月から上下水道施設における場内ネットワーク環境の最適化、IoT/AIを活用した保守点検業務の自動化の実現に向けた実証実験を開始すると発表した。
国内の上下水道事業は、自治体の財政難や技術者不足、施設の老朽化など、さまざまな問題を抱えている。このような問題の解決に向けて、政府は2023年6月、従来のコンセッション方式に加えて、コンセッションに段階的に移行するための公民連携方式(管理・更新一体マネジメント方式)を新設した公民連携方式「ウォーターPPP」を公表。その導入目標として2031年までに水道、下水道、工業用水道の3分野で計225件を提示している。
一方、上下水道施設の運転・維持管理業務において、数百から数千にまで及ぶ機器や設備の保守・点検作業は、現場作業員(運転管理員)の巡回、目視などによっており、五感や熟練の技術に頼る部分が多くを占めている。自治体では技術者不足に対し、十分な人材の確保と教育が大きな課題となっており、現場業務のさらなる効率化が求められる。
このような事業環境の中、事業運営と施設の維持管理で培った経験とノウハウおよび効率化を実現するソリューションを有しているメタウォーターグループと、多くの地域でDXを推進してきた実績、また通信環境の構築で培った現地エンジニアリング力を持つNTTグループとで、情報通信ネットワークの最適化、および保守点検業務の自動化の実現に向けて、実証実験を実施することになったという。
2025年10月1日から2027年3月まで、以下の2点を宇都宮市上下水道局 清原水再生センターにて実施するとしている。
宇都宮市上下水道局 清原水再生センター
1、上下水道施設における情報通信ネットワークの最適化
上下水道施設は、広大な敷地、高低差のある空間で、堅牢な造りの建屋など、情報通信ネットワークの構築にあたって考慮すべき特徴が多い。
また保守点検業務自動化を目指す上で、映像・センシングデータなど、取得するデータに合わせて最適なネットワークを設計するとともに、コスト効率も意識する必要があるという。

そこで、NTTグループが提供するネットワークラインアップとノウハウ、および現地の通信環境の構築で培ったエンジニアリング力と、メタウォーター独自の情報通信プラットフォーム「WBC(Water Business Cloud)」、および受託プラントの運転状況を一元的に監視している「オペレーションサポートセンター(OSC)」を連携。
保守点検業務の自動化の基盤となる、上下水道施設における最適な情報通信ネットワークの構築をめざす。
2、上下水道施設における情報通信ネットワークの最適化
現場作業員が実施している機器や設備の確認から判断、記録に至る保守点検業務の一連のオペレーションを、情報通信ネットワークを基盤として、ネットワークカメラやIoTセンサーによるセンシング、また生成AIの活用により、人手を介すことなく成立させることができるソリューションの開発と検証を実施する。

AIが異常を検知した場合、現場作業員に警報を発報するとともに、メタウォーターのオペレーションサポートセンター(OSC)へ通知され、ベテランスタッフからの必要な助言、指示によりプラントの安定運転をサポートするという。
生成AIの活用は記録だけでなく、将来的には業務フローの見直しや、社員教育への活用も視野に入れ、持続可能な上下水道施設の運営をサポートする仕組みの実現をめざす。
メタウォーター、およびNTTグループは今回の実証実験により、IoT/AIを活用した上下水道施設における場内ネットワーク環境の最適化や保守点検業務の自動化などの有効性を検証。
本格実装に向けた検討を進めていくほか、自治体のインフラ運営などの課題に対し、本実証実験で得られた成果を活用し、地域の課題解決をめざすとしている。








