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Windows 10サポート終了特集:必ず知っておきたい重要情報まとめ 第1回

起こりうるリスクと対策

更新の先送りはヤバい悲劇の始まり。Windows 10サポート終了まで約1ヶ月!

2025年09月10日 08時00分更新

文● 貝塚/TECH.ASCII.jp

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意外とシステム要件は緩いWindows 11。ただし、要チェックなポイントも

ギリギリ更新は避けよう!

 Windows 11はマイクロソフトの最新OSであるものの、システム要件は意外にも緩く、1GHz以上で2コア以上の64bit互換プロセッサー/System on a Chip(SoC)、4GB以上のメモリー、64GB以上の記憶装置(SSD、HDD、フラッシュメモリーなど)といったスペックの高くない環境でもインストールが可能です。

 このスペックであれば、現代的なPCのほとんどが対応していると言えるでしょう。ただし、TPM(トラステッド プラットフォーム モジュール)は「バージョン 2.0」であることが必須となっており、ここを満たしていないPCにはインストールができません。

 TPMはPCに組み込まれたセキュリティー用チップで、ディスク暗号化に使う秘密鍵の保存や、改ざんされたOSや不正なソフトが読み込まれていないかの検証、Windows Hello(顔認証・指紋認証)やVPN接続の証明書管理といった極めて重要な機能を担うもの。

 TPM 2.0非搭載のPCにはWindows 11がインストールできないため、ハードウェアの刷新、つまりPCやタブレット自体の買い替えが不可欠となります。TPM 2.0は物理的にボードにハンダ付けして搭載されているため、ソフトウェア的な更新も不可能です。

 マイクロソフトでは、2016年7月28日以降に出荷されたPCは、基本的にTPM 2.0を搭載していると案内していますが、古いPCを長年使い続けている場合は、「Windows 11への更新時に、PCそのものの買い替えが必要にならないか」は確認しておくべきでしょう。

どうしても更新できない事情があるなら

 ここまでOSの更新を先延ばしにする危険性を書いてきましたが、Windows 10のサポート終了まで、残された時間はあとひと月強。企業の事情もさまざまです。「どうしても、いまはOSの更新をしている余力がない!」といった事情を抱える企業も少なくないはずです。

 実は、ESU(Extended Security Updates)というプログラムを使うことで、サポート終了期限を延ばすという方法が存在します。

 ESUは「拡張セキュリティアップデートプログラム」であり、年間サブスクリプションの形で契約することで、サポートの切れたWindows 10でセキュリティー更新プログラムを受け取ることが可能になります。

 ただし、ESUはあくまでもOS移行期間用の一時的な猶予プログラムと位置付けられており、組織/企業向けPCで年額61USドル、個人向けPCで30USドルの費用もかかります。

 「すぐにOSをWIndows 11に更新したり、それにともなってPCを買い替えることは不可能で、業務を継続するためには当面Windows 10を使い続けるしかない」といった状況に置かれている場合に検討するといいでしょう。

トラブルは予期しないタイミングで起きる

 いずれにしても、サポート終了が確定したOSを使い続けると、現場で予期せぬ混乱が起きる可能性があります。OSの更新は、従業員が安心して業務に集中できる環境を守るための、企業にとって欠かせない取り組みです。

 重要な更新を先送りした環境では、アプリの非互換や想定外のシステムトラブルが、思わぬタイミングで現れることが少なくありません。だからこそ、OSのサポート終了時には、計画的かつ確実な対応が求められるのです。

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