ANAグループの共通データ基盤「BlueLake」 最新版はIcebergを採用し、AI時代に備える
グループ4万人のデータ活用で“ANA経済圏”確立を目指せ 進化するANAのデータレイクハウス
2025年08月15日 15時45分更新
「ANAグループ4万人の力を最大限に生かしていくために“データの民主化”を促進しています。あらゆる部門で、データ分析のプラットフォームである『BlueLake(ブルーレイク)』を利用することで、意思決定の迅速化と、部門横断的なデータ活用に取り組むことが可能になっています」(ANA 井岡 大氏)
創業73周年を迎え、主力の航空事業(エアライン事業)だけでなく、日常生活をサポートする非航空事業(ノンエア事業)にも領域を拡大して“ANA経済圏”の確立を目指す全日本空輸(ANA)。事業収益の拡大と事業領域の拡大を実現し、このANA経済圏を活性化させるために欠かせないのが、幅広い「データ活用」の取り組みだ。
ANAグループのあらゆる部門で自由にデータを活用し、データドリブンな意思決定ができるように、2022年にはデータ分析のための統合データレイク「BlueLake」を構築し、以後、段階的な機能強化を図ってきた。今夏リリースの最新バージョン(V4)では、データクラウドの「Snowflake」をベースに「Iceberg」フォーマットを採用して、データ処理の効率化と高速化を実現している。
Snowflakeが2025年7月に開催した記者説明会では、ANA デジタル変革室でデータマネジメント構想を主導する井岡 大氏が、データの民主化に取り組む背景から、BlueLakeにおける機能強化の軌跡、AIエージェント活用なども含めた今後のDXビジョンを語った。
全日本空輸(ANA) デジタル変革室 イノベーション推進部 データドリブンチーム リーダーの井岡 大(たかし)氏、Snowflake Global Head of Travel and Hospitalityのホイットニー・ホーソーン(Whitnee Hawthorne)氏
“ANA経済圏”確立に欠かせない、あらゆる事業でのデータ活用
現在、ANAグループは56社で構成され、グループ従業員数はおよそ4万1000名に達する。3つのブランド(ANA、Peach、AirJapan)を持つ航空事業に加え、旅行事業、商社事業、ECモール事業(ANA Mall)、キャッシュレス決済事業(ANA Pay)といった、非航空分野のライフサポート事業の拡大にも努めている。
年間およそ4800万人の乗客(2023年度実績)、約4200万人のマイレージ会員に対して、航空事業と非航空事業のサービスをシームレスに提供し、“ANA経済圏”に取り込むためには、あらゆる事業領域のデータもシームレスにつなぎ、活用できなければならない。ANAグループでは、データを扱う「システム」「人材」「プロセス(ガバナンス)」の3分野で整備を進め、グループ従業員の誰もがデータを活用できる環境を構築している。
この3分野のうち、「データを扱うシステム」の中核をなすのがデータ基盤だ。さまざまな顧客向けサービスをリアルタイムに支援する「CX基盤」と、従業員が多様なデータ分析に用いるデータレイク/データウェアハウス(DWH)の「BlueLake」がある。
「これら2つのシステム(CX基盤とBlueLake)は密接に連携しており、お客様の(パーソナライズされた)体験価値の向上、従業員の生産性向上、そしてより良いビジネス意思決定のために、積極的に活用しています」














