「Google Cloud Next」基調講演で語られたAI最新事例のまとめ
“GoogleのAI”で働き方を変える日本企業 MIXI・メルカリ・博報堂のGemini・Google Agentspace実践例
2025年08月18日 08時00分更新
博報堂:若手社員が役員を指南する「AI逆メンター制度」でAIとの共創を促進
最後に紹介するのは、博報堂のGeminiおよびNotebookLMの全社活用だ。
創業130年を迎え、「生活者価値デザイン・カンパニー」になるというビジョンを掲げる博報堂。広告に留まらない多様な領域でサービスを展開していく中で、「人間中心のAI(Human-Centered AI)」という考え方に基づくクリエイティビティの進化・拡張を目指している。
博報堂の代表取締役社長である名倉健司氏は、「従来の“正解を出す”AI観だけを是とするのではなく、AIを“別解を出す”パートナーとして捉えている」と説明する。
AIとの共創を“新しい働き方”に昇華すべく、同社では2025年春に、Googleの生成AI「Gemini」とAIノートブックである「NotebookLM」を全社利用できる環境を整備した。「“パートナー主義”を徹底するためには、パートナーとの協業によりサービス領域を拡大し、アウトプットも多様化しなければならない。そのために、我々自身が柔軟な環境を構築して、マルチクラウド・マルチ生成AIを“手の内化”するのは必然の選択」と名倉氏。
この変革の本気度を示す取り組みとして紹介されたのが「AI逆メンター制度」だ。
これは、積極的にAIを活用している若手社員が、役員に対してAIツールの使い方を指南する制度であり、役員によるAI活用の様子は社内にも発信される。「『役員が使っているのに、自分が使わないわけはいかない』というポジティブなプレッシャーも生まれている」と名倉氏。他にも、博報堂単体で500名のAIエバンジェリストを育成するプログラムや、独自のプロンプト共有ツールを構築するなど、リーダーを育て、ナレッジを広げるための施策も展開している。
新しい働き方を象徴するのが、NotebookLMの活用だ。チーム特有の情報を同サービスに集約することで、機動的なチーム編成が可能になり、提出先が異なる報告書の作成も自動化される。
さらには、新しい働き方による学びを外部展開し始めており、「AI利活用支援コンサルティング」や「マーケティング業務BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)支援プログラム」を提供している。
名倉氏は、「真の生活者価値デザイン・カンパニーを目指す博報堂にとって、AIとの共創は必須であり、そのための強力なパートナーがGoogle CloudとGeminiである」と締めくくった。











