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何が変わった? OpenAI「GPT-5」でできるようになったこと5選

2025年08月08日 13時50分更新

文● サクラダ 編集●飯島恵里子/ASCII

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 OpenAIは8月7日(現地時間)、同社のAIモデルの最新版となる「GPT-5」を発表した。その進化は多岐にわたるため、核となる重要なポイントを5つに整理し、GPT-5がもたらす変化を解説していく。

 GPT-5は8月8日(日本時間)より、無料版を含むChatGPTの全ユーザーに提供が開始されるが、プランごとに利用上限が異なる。特にProプランではGPT-5を無制限で利用できるほか、さらに高性能な「GPT-5 Pro」にもアクセス可能だ。

①質問に応じて思考を切り替える統合AIシステム

 GPT-5の最大の特徴は、単一の巨大モデルではなく、2つの異なるモデルとそれらを制御する「ルーター機能」から構成される統合システムである点だ。幅広い質問に即座に回答する「高速応答用(高スループット)」モデルと、複雑な問題に対してじっくりと深い推論をする「GPT-5 thinking」モデルを搭載する。

 ユーザーからの質問の種類や複雑さ、あるいは「深く考えて」といった指示に応じて、ルーターが最適なモデルを瞬時に選択し自動で切り替える。これにより、日常的な応答の速さと専門的な分析の正確さという相反する要求を高いレベルで両立させたほか、これまでのようにユーザーがどのモデルを選択すべきか悩む必要がなくなった。

②実用3大分野での劇的なパフォーマンス向上

 新モデルは、ベンチマーク上の性能向上はもちろんのこと、実用面での進化が著しい。OpenAIは、特にChatGPTが多用される「文章作成」「コーディング」「ヘルスケア」の3分野で、そのパフォーマンスが劇的に向上していると強調する。

 コーディング能力は過去最高レベルに達し、プログラミング知識がないユーザーでも自身のアイデアを言葉で伝えるだけで、アプリとして具現化できる性能を持つ。文章作成においては、優れた「創作のコラボレーター」へと進化し、ユーザーの大まかなアイデアを心に響く文章へと変換する。ヘルスケア分野でも、利用者に寄り添った対話を通じて、主体的な意思決定を支援する信頼できるパートナーとして機能する。

③ハルシネーションを大幅に抑制した「正直なAI」

 信頼性の向上は、具体的な数値にも表れている。ChatGPTの実運用データを模したテストでは、事実誤認がGPT-4o比で約20%減少し、思考を伴うthinkingモードでは従来推論モデル(OpenAI o3)比で約70%も減少した。

 さらに、実行不可能なタスクへの対応だけでなく、安全性に関する基準そのものが全面刷新された。従来のモデルが不適切なプロンプトに対して「完全に拒否する」か「要求に従う」かの二者択一に近かったのに対し、GPT-5では新たに「安全な完了(Safe Completion)」という概念を導入したという。

 例えば危険物の作り方といった要求がされた場合でも、単に拒否するのではなくAIが自身の限界を正直に伝えた上で、なぜその要求に応えられないのか理由を明確に説明し、安全な利用を促すようユーザーを誘導するようになった。これにより、ユーザーはAIの応答をより安心して利用できるとしている。

④より自然でパーソナライズされた対話体験

 対話体験そのものも大きく変わる。強化されたメモリー機能により、過去のやりとりを記憶する能力が向上し、文脈を深く理解した応答が可能になった。GPT-5は不要な絵文字の使用や過度な同調表現が抑えられ、まるで博士号を持つ親しい友人と会話しているような、自然で思慮深いやり取りが可能になった。そのためユーザーの目的遂行を長期的にサポートする、より信頼できるパートナーへと進化した。

 また、ユーザーの好みに合わせて応答スタイルを変えられる4種類のプリセット人格(皮肉屋、ロボット、聞き役、ナード)もプレビュー提供され、プロンプトなしで手軽にChatGPTの個性を切り替えられる。

⑤最上位モデル「Pro」と全ユーザーへの展開

 より高度で複雑なタスクに対応するため、最上位モデル「GPT-5 Pro」もリリースされた。長時間思考し、並列計算を活用することで最高レベルの網羅的な回答を実現し、特に難解な数学や科学の問題で圧倒的な性能を示しているという。

 GPT-5はChatGPTの新しいデフォルトモデルとなり、本日より無料版、Plus、Pro、Teamの全ユーザーに提供が開始された(EnterpriseとEduプランは1週間後に提供)。プランごとにメッセージ数の上限が異なり、ProプランのユーザーはGPT-5を無制限で利用できるほか、前述の「GPT-5 Pro」にもアクセスできる。なお、無料版のユーザーは利用上限に達すると、推論機能を備えたコンパクトな高性能モデル「GPT-5 mini」に自動で切り替わる仕様となっている。

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