すでにPICの設計やCOUPEの3次元実装、検証までのフローを確立
2026年には信号の光化が実現する
SoIC-XとMicroBumpの比較が下の画像である。配線長が5分の1近くまで減っており、特に通すべき信号の周波数が上がるにつれてMicroBumpとの特性の差が際立っているのがわかる。
S11は入力端子に入力した信号に対する、入力端子で反射される信号の割合。S21は入力端子から出力端子への透過係数であり、S11は低いほど、S21は高いほど(1に近いほど)いい。グラフを見ると周波数が上がるにつれ悪化していくが、それでもSoIC-Xはまだ優れた特性を示すのがわかる
TSMCによればすでにEDAツールベンダーによるCOUPEの対応も進んでおり、PDKによるPICの設計やCOUPEの3次元実装、検証までのフローが確立しているとの話である。
EDAツールベンダーによるCOUPEの対応。横軸はEDAベンダー、個々の項目は対応するツール名である。ちなみにAnsysはSynopsysに買収されており、その意味ではSynopsysはすべてのソリューションを提供できる(CadenceはまだOptical IOの対応ツールがない)ことになる。そこだけAnsysのZemaxを使えばいいのだが
やや駆け足になってしまったが、現状判明しているCOUPEの概要は以上である。ちなみにNVIDIA、現時点ではイーサネット・スイッチ/インフィニバンド・スイッチのCOUPEを併用した光化がロードマップとして示されているだけだが、これに続き現在NVLinkの光化も水面下で進んでいる。こちらもおそらくCOUPEベースのものになるのではないかと思われる。
時期で言えば、2026年に発表予定のRubinは、もう光ベースのNVLinkになる(とともに、NVLink Fusionとの互換性を持つ)のではないかというのが現在の予測である。

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