SaaSベンダーの価値創出を後押しするAWSの包括支援策
AI×SaaSの最前線 kintone・スポットバイトル・freeeが「Amazon Bedrock」を選んだ理由とは?
2025年08月01日 08時00分更新
生成AIの技術進化が加速する中、さまざまなSaaSにも、さらなる業務効率化の手段として生成AIが組み込まれ始めた。SaaSベンダー各社は、独自の強みを活かして差別化を図ろうとしている。
アマゾン ウェブ サービスジャパン(AWSジャパン)は、2025年7月30日、ソフトウェア業界の生成AI活用事例を紹介する説明会を開催。同社のSaaSベンダーに対する支援策が説明されると共に、サイボウズとディップ(dip)、フリー(freee)の3社が登壇し、それぞれのSaaSが組み込む最新のAI機能を披露した。
AWSジャパンの常務執行役員 デジタルサービス事業統括本部長である佐藤有紀子氏は、「生成AIの登場により、SaaSベンダーは根本的な変革に取り組んでいる。AWSはサービスのみならず、導入や活用、コストの支援、マーケットプレイスの提供まで、幅広いサポートを展開する」と説明した。
(左から)アマゾン ウェブ サービスジャパン 常務執行役員 デジタルサービス事業統括本部長 佐藤有紀子氏 / サイボウズ 執行役員 事業戦略室長 兼 マーケティング本部長 兼 グローバル事業本部長 栗山圭太氏 / ディップ 執行役員 CTO ソリューション開発本部長 長島圭一朗氏 / フリー 常務執行役員 CPO 木村康宏氏
SaaSベンダーの価値創出を後押しするAWSの包括支援策
佐藤氏は冒頭、SaaSを取り巻く日本の環境について振り返り、この15年間で生まれた3つのイノベーションについて触れる。
まず2011年、AWS東京リージョンの開設により、スタートアップを含む多くの企業がクラウドによるイノベーションを始めた。今回登壇するfreeeが生まれたのも翌2012年だ。さらにコロナ禍を経て、生活やワークスタイルの変化によるイノベーションが花開く。場所にとらわれずに利用できるサービスの需要が増え、よりSaaSが生活や仕事に浸透していった。
そして、現在起きているのが生成AIによるイノベーションだ。生成AIがコンテンツを作り、独自に考えて処理をする、人間の作業を最小限にするようなサービス・機能が生まれている。「ソフトウェアやWebサービスを提供するお客様は、クラウドによるイノベーションにいち早く取り組み、ビジネスモデルやテクノロジー基盤を変革し、そして今、生成AIによる付加価値の提供に取り組んでいる」(佐藤氏)
こうした企業に対してAWSは、「Amazon Bedrock」を中心とした生成AI関連サービスを提供している。佐藤氏は、これらのサービスがSaaSベンダーに提供する価値として、素早く生成AIを組みこめる豊富な機能、様々な基盤モデルにアクセスでき、用途に応じて使い分けられる柔軟性、そして、サービス品質と顧客データを守る高い信頼性とセキュリティを挙げた。
現在、AWSが注力しているのが、AIエージェントの実装支援だ。2025年7月にエージェント構築のために必要な“機能の集合体”である「Amazon Bedrock AgentCore」のプレビューを一部地域で提供開始(参考記事:AWSジャパンが、AIエージェントの部品集「Bedrock AgentCore」と仕様駆動型IDE「Kiro」を解説)。導入技術支援として、日本独自の施策である「生成AI実用化推進プログラム」を展開する。
さらに、AWS Marketplaceに「AIエージェントとツール」のカテゴリを追加して、販売支援までをカバー。構築済みのAIエージェントやMCPサーバーなどの関連ツール、コンサルティングサービスなどが、 柔軟な価格設定やデプロイオプションで販売できる仕組みを整えた。既に、国産サービスとしてアンチパターンの 「SaaSus Platform」、エクサウィザーズの「exaBase Studio」が出品済みだという。











