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専用線をオンデマンド調達/デプロイできる「Colt On Demand」、今後の進化の方向性は

「AIエージェントに寄り添うネットワーク」を目指す ColtのNaaS戦略を聞く

2025年07月08日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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他のキャリアとの連携による“エンドトゥエンド自動化”の未来像

 もうひとつの大きなテーマは、他のネットワーク事業者と連携した自動化だという。これは特に、海外進出するエンタープライズ顧客のニーズに対応するために必要だと、水谷氏は説明する。

 たとえば、日本企業が海外拠点との間で専用線を設けたいと考えた場合、相手先の地域にColtが自社ネットワークを持っていなければ、その国で展開するネットワーク事業者の回線を調達し、相互接続して利用することになる。こうした相互接続は従来から一般的なものだが、NaaSによる「オンデマンドでのネットワーク調達」「制御の自動化」を実現しようとすると、まだまだハードルは高いという。SDN化が進んでいるネットワーク事業者ばかりではないからだ。

 「Coltでは、他社のネットワークも含めて自動化を進めていくという方向性を打ち出しており、実際にヨーロッパでは複数のパートナーと実証実験も行っている。もちろん、競合もあるのですべてのキャリアとパートナーシップを組めるとは考えていないが、エリア(国)ごとに包括的なパートナーシップを組める事業者を探して、取り組みを進めていきたい」(水谷氏)

 相互接続するネットワークの自動化については、「業界全体としてのAPIの標準化」も重要だと、水谷氏は説明した。ネットワーク事業者のグローバルな業界団体であるTM ForumやMetro Ethernet Forumでも、API標準化の議論が進んでおり、Coltとしてもその取り組みに貢献していると紹介した。プロダクトマネージャーの中川氏は、APIの標準化によって実現しうる将来像を次のように語った。

 「キャリア間のAPI連携の仕方がそろえば(標準化されれば)、ネットワーク業界全体として(相互のネットワーク)調達などの業務が楽になるため、各社とも興味を示している。たとえば、ほかのキャリアの調達システム上でColtネットワークの提供可否が直接分かる、システム上ですぐに見積もりが取れる、そういうことが実現できる。そうした連携は、参加するキャリアが増えれば増えるだけ可能性が広がるので、面白くなると思っている」(中川氏)

 さらにモルダー氏は、APIの標準化はネットワーク事業者だけでなく、一般の顧客企業にもメリットをもたらすだろうと付け加えた。たとえば、企業が持つITインフラのコスト管理システム、CO2排出量の管理システムなどとAPI連携させれば、個々のネットワークのコストやCO2排出量を参照しながら、そのつど最適なネットワークを動的に選択できる。そうした未来像だ。

 「ネットワークの用途によっては、必ずしもレイテンシにセンシティブではない(レイテンシが重要ではない)ものもある。そのときに、CO2の排出量を目安にしてパス(経路)を選択できる、そういう選択肢も提供できる会社でありたいというビジョンを持っている」(水谷氏)

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