専用線をオンデマンド調達/デプロイできる「Colt On Demand」、今後の進化の方向性は
「AIエージェントに寄り添うネットワーク」を目指す ColtのNaaS戦略を聞く
2025年07月08日 09時00分更新
「生成AI/AIエージェント」と「バックアップ」のニーズにも注目
そのほかには、どんなユースケースでの活用が考えられるのか。水谷氏は「生成AI/AIエージェント」と「バックアップ」の2つを挙げた。
企業が自ら生成AIやAIエージェントのアプリケーションを構築し、活用するためには、データセンターやクラウドの間で大規模な“データのマイグレーション(移動)”が必要になる。一時的に大容量のネットワークが必要になるため、ここにColt On Demandが適しているという考えだ。もうひとつのバックアップも、バックアップ実行時のみ帯域幅を拡大し、終了とともに縮小させれば、ネットワークコストの大幅な削減につながる。
「AIの場合、それを処理するクラウド(コンピューティング)の側はリソースを増減できるのに、ネットワークがそれに付いてこない(増減できない)という課題があるとお聞きする。またバックアップも、BCPのために遠隔地まで1G、10Gの固定回線を常に引いておくのはコスト負担が大きい。Colt On Demandは、そうした課題にも対応できる」(水谷氏)
Coltの調査によると、AIに対する投資を行っている企業の割合は、グローバルでも日本がトップクラス(90%がAIに投資している)だったという。そうした変化もとらえながら、エンタープライズにおけるColt On Demandの採用を増やしていきたいと語る。
高度な運用自動化には“AIエージェントに寄り添うネットワーク”が必要
もちろん、現状のColt On Demandが“NaaSの完成形”というわけではない。Coltでは、さらなる機能強化、サービスの改善を進めていく方針だ。たとえば、ネットワークと同時にセキュリティの付加サービスを提供するようなNaaSが考えられるという。
今後の大きなテーマのひとつとして、水谷氏は「AIに寄り添ったかたちのネットワークにしていく」ことが必要だと語った。“AIに寄り添うネットワーク”とは、具体的にどういう意味か。Coltにおける、アジア全域のプロジェクト責任者であるモルダー氏が説明する。
「現在のColt On Demandは、基本的にはお客様のIT担当者がポータルにログインして、手作業で設定変更などを行う仕組みになっている。ただし今後、AIエージェントが進化していくことで、さらなる自動化の方向にシフトしていくことになるだろう」(モルダー氏)
すでに顧客企業側では、ITエンジニアの人手不足という課題解決のため、ITインフラの運用管理を自動化する動きが進んでいる。ここにAIエージェントが組み込まれ、AIがインフラの監視と運用を自律的に実行するのも、そう遠くない未来の話だろう。そうなれば、AIエージェントがネットワークを自動操作する場面も増える。AIエージェントと連携させやすい“AIに寄り添った”NaaSの提供は、これから必要になりそうだ。









