アドビが5月に発表したクリエイティブツール群「Adobe Creative Cloud」の大型アップデートが、8月1日の提供開始を目前に控えている。このアップデートにより、従来の最上位プラン「Adobe Creative Cloudコンプリートプラン」は「Adobe Creative Cloud Pro」へと名称を変更。生成AI機能などが大幅に強化される。
生成AIを大幅強化、サードパーティ製AIも利用可能な新プラン
「Adobe Creative Cloud Pro」は、これまでのコンプリートプランで提供されてきた「Adobe Photoshop」や「Adobe Illustrator」、「Adobe Premiere Pro」といったすべてのアプリやサービス、特典に加え、新たなツールとクリエイティブ機能を追加した新プランだ。
近年、同社が注力してきたパフォーマンス向上も反映されており、Illustratorで多用される効果処理は5倍高速化され、Photoshopでは髪の毛のような複雑なディテールをすばやく正確に選択できるようになった。Premiere Proでは、テラバイト規模の映像から目的のシーンを瞬時に検索できるなど、制作現場の生産性を向上させる機能が盛り込まれている。
Adobe MAX Londonで発表されたAdobe Creative Cloudの主な機能のデモ
今回のアップデートの最大の目玉は、生成AI「Adobe Firefly」の機能強化だ。Photoshopの「生成塗りつぶし」やLightroomの「生成AI削除」といった画像・ベクター向けの標準AI機能が無制限で利用可能になるほか、Premiere ProではビデオクリップをAIが違和感なく延長する「生成延長」といったプレミアムAI機能も利用できる。さらに、新たに提供される「Adobe Fireflyアプリ」では、高品質な画像、ベクター、ビデオ、オーディオを生成できるほか、現在ベータ版として提供中の新機能「Adobe Firefly ボード」を介して、AIを活用したアイデア出しや共同作業が可能になる。
特筆すべきは、Adobe Fireflyアプリ内で、アドビ製ではないサードパーティのAIモデルを選択できるようになった点だ。Googleの「Imagen 3」や「Veo 2」、OpenAIの画像生成モデルなどを直接利用でき、クリエイターは用途や好みに応じて最適なAIモデルを使い分けられるようになる。今後、対応するパートナーモデルはさらに増える予定だという。
| 現在のプラン名 | Adobe Creative Cloud 個人版コンプリートプラン |
Adobe Creative Cloud 学生・教職員版コンプリートプラン |
Adobe Creative Cloud グループ版コンプリートプラン |
|---|---|---|---|
| 7月31日までの価格 (年間プラン・月々払い) |
7780円/月 | 3610円/月 (初年度は2180円/月) |
1万780円/月 |
| 新しいプラン名 | Adobe Creative Cloud Pro 個人版 |
Adobe Creative Cloud Pro 学生・教職員版 |
Adobe Creative Cloud Pro グループ版 |
| 8月1日以降の契約更新時に 適用される価格 (年間プラン・月々払い) |
9080円/月 | 4180円/月 (初年度は3280円/月) |
1万1990円/月 |
日本での「Adobe Creative Cloud Pro」の提供は8月1日から。価格は個人版の年間プラン(月々払い)が月額9080円となる。既存のコンプリートプラン契約者は、8月1日から自動的に「Adobe Creative Cloud Pro」へ移行され、新価格は次回更新時から適用される。また、生成AI機能へのアクセスは制限されるが、主要なデスクトップアプリが利用できる新プラン「Adobe Creative Cloud Standard」も用意される。








