およそ2兆円規模の大型買収が完了、Aruba+Juniperは「HPE Networking」として統合
HPEのJuniper買収、1年半越しで完了 「AIネイティブなネットワーキング」目指す
2025年07月03日 16時08分更新
HPE Aruba+Juniperで“最強”に、HPEのネットワーク事業規模は2倍に拡大
買収によって、1万人規模のJuniper社員がHPEに加わり、新設されるネットワーキング部門「HPE Networking」に配属される。JuniperのCEOであるラミ・ラヒム氏が、HPE Networkingのプレジデント兼GMとして統括する。HPE Networkingは、無線LANやキャンパスネットワーク中心の「HPE Aruba Networking」と、エンタープライズのコアネットワーク中心の「HPE Juniper Networking」の2ブランド体制となる。新しいロゴも披露された(記事冒頭の画像)。
HPEのプレスリリースによると、HPE Networkingを新設したことで、データセンターネットワーク、ファイアウォール、ルーターといった、隣接市場への進出も可能になるという。HPEのネットワーキング事業規模は2倍に拡大する見込みだという。
ネリ氏によると、HPE Networkingは、ArubaとJuniperのエンジニアリングやプログラム管理を統合し、1つの組織として運営される。ラヒム氏は「戦略だけでなく、組織をきちんと考えて統合を行う」と述べた。すでに新組織の構図も明確に描いているという。「HPE ArubaとJuniperの双方にすばらしいリーダーがおり、“最強のネットワーキング事業”を構築できることは確かだ」と自信を見せる。
前述したDoJとの和解条件について、ネリ氏は「Mist AIのライセンス供与が求められるのは(ネットワークの)運用部分のみであり、コード全体ではない」と述べ、競争力への影響は大きくないとの見方を示した。また、ラヒム氏も「これまで10年以上、現場から得られるデータで(AIを)学習した。この資産は他社ではコピーできないだろう」「ライセンス供与であって売却ではない。われわれはイノベーションを継続していく」と語った。
一方で、HPE ArubaとJuniperは部分的に重複(競合)する技術分野もある。たとえばMist AIと、ArubaのAI運用技術「Aruba Central」だ。これらは統合されるのか、両方とも継続していくのかという質問に対し、ラヒム氏は「まだ買収が完了したばかりであり(結論を出すのは)時期尚早」と、方針を明言することを避けた。
「目標は、HPEとJuniperの合併により、地球上で最高のネットワーキング事業を構築すること。まずは顧客とパートナーにフォーカスして取り組みを始める。両者(HPE JuniperとHPE Aruba)のモメンタムを継続したいと思っており、顧客と市場を見ながら統合戦略を立てているところだ」「AIネイティブ、安全、クラウドネイティブの要素をもつネットワーキングを目指している。誰も取り残さない」(ラヒム氏)
HPEは、2週間前に開催した年次イベント「HPE Discover」において、AIエージェントによるIT運用の枠組みとなる「GreenLake Intelligence」を発表している。JuniperのMist AIやテレメトリ機能の統合についても同様に、「顧客に安全でAIネイティブなネットワーキングを提供することを主軸に、今後計画を立てていく」とラヒム氏は述べた。
ネットワーキング市場における優位性について聞かれたラヒム氏は、「HEとJuniperは、最も包括的で、安全で、AIネイティブな、クライアントからクラウドまでのポートフォリオを展開しており、そこにネットワーク製品も含まれる。それだけでなく、われわれはコンピュート、ストレージ、ネットワーキング、ソフトウェアで構成されるITスタックにおける重要な要素をすべて備える、唯一のテクノロジープロバイダになる」と答えた。








