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ソニーは変わっていく! 時代の変化や新しいビジネス環境に適応していく最新映像ソリューション展示

2025年07月03日 10時30分更新

文● ASCII

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 ソニーは7月2日、同社の映像機器/サービスや企業向けソリューションを展示するプライベートショー「Sony Marketing Creative Solution Showcase 2025」を開催した。

映像を軸にB2Bソリューションを広く展開

 昨年に続いての開催。長期ビジョンに掲げ掲げている「Create Infinite Realities」のもと、フィジカルとバーチャルの垣根をこえた価値創造に取り組んでいる。そのコアとなるのが映像コンテンツ。映像を時間効率を高めるという観点で活用すれば「クリエイティビティの最大化」(生産性の向上や効率化)につながり、映像を空間の拡張という観点で応用すれば「空間の体験価値創造」ができるとしている。

 イベントでもシネマカメラやオートフレーミングカメラ、バーチャルプロダクション、大画面ディスプレーによる空間演出、映像制作/配信システム、イマーシブコンテンツ制作システム(XYN)など、多数の製品やサービスが展示されていた。

 さらに今年は、LiDARデプスセンサーなどセンシング技術の活用に加え、αやCinema Lineのカメラを活用して社会インフラの維持に役立てる方法を提案。映像と画像認識技術を組み合わせ、コンクリートのひび割れの検知や部品の外観の検査に活用。AI技術も絡めながら、人口が減少していく中、人手をかけず効率的に作業を進める提案にフォーカスしていたのが印象的だった。

ソニー独自の測距センサー(dToF方式)によって物体を検知するLiDARデプスセンター(AS-DT1)。来年春の発売を予定している。

 また、自動追尾カメラについては、大学の講義をカメラで収録し、その中からダイジェスト部分をAIで抽出して編集。さらにその内容に即した小テストを自動で生成し講義で活用できるようにするなど、教育現場での応用例も紹介されていた。

 展示会を歩くと、ソニーが持つ映像技術、そしてB2B分野での応用の可能性の広さを実感できる印象的な展示会だった。以下、印象に残ったものをいくつか紹介しよう。

注目のバーチャルプロダクション、使える場所の拡大を目指す

 注目が集まっているバーチャルプロダクションのデモ。グリーンバックなどを使うのではなく、ディスプレーに投影した映像の前で演技して、直感的でわかりやすい合成撮影ができる。背景の映像はカメラの動きに連動して角度が変わっていくが、コーナでも違和感がないように見える仕組みを取り入れている。

継ぎ目なく並べられるCrystal LEDを使って背景の映像を実現する。

撮影に使用しているカメラやソフトも進化している。

カメラの位置や撮影角度を認識するためのトラッキングシステムは従来天井などにマーカーを描く必要があったが、秋に発売予定のOCELLUSでは複数センサーで周囲の特徴点を把握し、マーカーレスでトラッキングが可能となっている。スタジオの外に出ての撮影も可能となる。

可搬型ボリュメトリックシステム

 写真は可搬式のボリュメトリックシステム。ボリュメトリックビデオは立体映像技術の一つで、実在する人物や物体の動きを360度さまざまな方向から捉えて合成、バーチャル空間上にその動きを再現する技術。通常はグリーンバックなどの設備が整った専用のスタジオで収録するが、持ち運んで好きな場所で使える点がポイントだ。

場所に映像を融合させる提案

 場所に映像を加えることで空間の価値を高める試みを多数実施している。最近では大阪・関西万博でのGUNDUM NEXT FUTURE PAVILION Dialogue Theater -いのちのあかし-などでもソニーの設備が導入されている。また、映像だけでなく振動などを交えた体感できる施設も増えている。

「デジタルヨセガキ」は施設などに導入してデジタルで記入したコメントやイラストを共有できる機能。ライブやイベント会場に置くのが効果的だ。

タブレットなどのほか写真のような単焦点プロジェクターを使った手描きも可能だ。

プロカメラマンのように自然に人物を撮影できる自動追尾カメラ

 カメラを固定した状態で自動的撮影ができる自動追尾カメラも力を入れている分野だ。映像制作に加え、イベント撮影や大学の講義などで活用されており、各社が技術を競っている。

人物の自動追尾はAI機能を活用し、ただ人物を追尾するだけでなく、目線空け効果や事前決定した範囲だけ追尾をするなど、プロカメラマンの技を盗んだような自然な追尾/フレーミングも可能となっている。

大学や企業での導入も進んでいるが、ソフト面での進化にも注目。シーン要約機能として講義やイベントなどの映像からも文字を起こしたり、シーンを繋いで要約を生成する機能など、きれいに撮る以外の提案も実施している。

αやCinemaLineのカメラを画像認識に活用する提案

ロボットアームにαのカメラ(ILX-LR1)を取り入れたシステム。製品の外観を高精細な映像で捉えることで、製品の外観検査を自動化する。そのためのSDKも用意している。

ロボットアームのカメラがとらえている部品の映像。

こちらはCinemaLineのILME-FX3を利用して、インフラのひび割れなどを検出するシステムのデモだ。

距離や場所の制約を超えた映像制作

 17型とコンパクトなマスターモニター「BVM-HX1710」「BVM-HX1710N」も登場した。

すでに発売されている31型製品との大きさ比較。高輝度/高コントラストな点は同様で、かつ小型であるため、持ち運びしやすい。

 シネマカメラVENICEのカメラヘッドを延長するシステム。高精度な3D撮影や、スティッチング撮影などで活用できる。NDフィルターの切り替えも可能。

 画質を維持しつつ高画質に圧縮できるHEVCはネットワークを使い離れた場所から映像を活用するために重要となる技術だ。

ワイヤレス伝送をするためのソリューション提案にも積極的だ。

ネットワークやクラウドを活用し、離れた場所から映像を活用していく機器/ソリューション提案も多くあった。

データを蓄積することで検索、再利用していく。

 NAB2025で展示した「HawkREPLAY」も紹介。スポーツのビデオ判定やビデオアシスタントレフェリー(VAR)システムで有名なHawk-Eyeのソリューションを活用できるもので、国内導入の検討も進められている。複数カメラの映像をサーバーに取り込み、コントローラー操作でスローのリプレイやハイライト映像の再生ができるようになる。

HawkREPLAY

ブラビアなど、大画面を活用した提案も継続

継ぎ目がなく大画面が実現できるCrystal LEDのCHシリーズ。壁面全てを埋めた映像表現などができるため、環境と映像が一体化した展示なども可能だ。C Hはディープブラックコーティング技術を用い、深い黒の再現が可能だ。

98型と大画面の法人向けブラビア。

サイネージも力を入れている分野だ。三枚並べたディスプレーの上部中央にはカメラが置かれており、映像を見ている人の行動を分析し、表示内容などを最適化するといった試みも取り入れている。また、テレビ内蔵のSoCを活用して、セットトップボックスなどなしで画像を配信/管理できる提案もあった。

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