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ネットワーク分野の技術革新にも期待、「HPE Discover Las Vegas 2025」レポート

「VMwareからの脱却は少しずつ進む」 HPEのネリCEOが語る、仮想化・AIインフラ・運用自動化

2025年07月01日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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AI時代のサーバーにスパコン技術を応用、ソブリンAIニーズへの対応も

 スパコン(スーパーコンピューター)はHPEの得意分野だ。現在、スパコンの処理性能ランキング「TOP500」でトップの座にあるのは、ローレンス・リバモア国立研究所にあるHPE製の「El Capitain」だ。それだけでなく、TOP500のトップ3はすべてHPE製のスパコンである。

 ネリ氏は「スパコンで培った技術は、AI時代のコンピューティングに強みをもたらしている」と語る。「AIシステムは、本質的には“特定の用途向けに設計されたスーパーコンピューター”と言える」。たとえば、スパコンで培われた液体冷却技術は、ProLiantサーバーにも応用しているという。

 HPEでは、NVIDIAのAI Factory設計に沿った、AI専用のIT環境を“AI Factory”と呼んで展開している。コンポーザブルなアーキテクチャ、Software-Definedのインフラといった特徴があり、AIモデルの開発企業、サービスプロバイダー、そしてソブリンAIを必要とする企業/組織の3つが主要ターゲットだ。

 ソブリンAIについては、特に欧州で関心が高く、中東でもニーズの高まりを感じるという。「パブリッククラウドは利用できないが、クラウド体験は必要だという顧客に適している」。

自社のAI導入経験から、最大の課題は「技術ではなく文化」と語る

 ネリ氏は、HPE自身のAI活用についても触れた。同社では、コーディング、オンライン会議の要約、調達部門の予測とプランニング、データの可視化と予測の改善、マーケティングキャンペーンの精度向上など、幅広い業務でAIを活用しているという。HPE全体でユースケースは250以上あり、そのうち本番稼働しているものが50以上。「取り組む価値がない」と判断したものはやめるなど、試行錯誤を続けていると語る。

 一例として、社内の財務部門ではCFOが積極的にAIを活用し、財務状況の可視化やプランニングを行っているという。AI導入に成功した要因として「トップダウンで推進していること」と分析する。

 企業における「AI導入の障壁」は何かを問われたネリ氏は、「技術よりも文化の影響が大きい」との見解を示す。「AIはIT主導ではなく、ビジネス主導のイニシアチブ」であり、AI活用で先行する企業は「組織としてAI導入に向けて結束している」と述べた。

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