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大手顧客のVCF採用率は87%に到達、「われわれの想定以上の成果だ」

Broadcomが「VMware Cloud Foundation 9.0」提供開始、“モダンプライベートクラウド”需要を狙う

2025年06月23日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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VCF 9リリースの背景:モダンプライベートクラウドのニーズの高まり

 ターナー氏は、VCF 9のリリースによって「市場の要件を満たせるプラットフォームのケイパビリティを提供できることを、大変嬉しく思っている」と語った。

 ヴイエムウェアが考える“市場の要件”とはどんなものなのか。日本法人カントリーマネージャーの山内氏は、日本を含むグローバル1800社のCIO/ITインフラ責任者に行った調査「プライベートクラウドの展望 2025」を引用しながら、現在のプライベートクラウド基盤に求められる要件を説明した。

グローバルCIO調査「プライベートクラウドの展望 2025」の結果より

 1つめの要件は「クラウドネイティブ環境であること」だ。企業はクラウドネイティブアプリケーションの実行環境としてプライベートクラウド単体、もしくはプライベートクラウドとパブリッククラウドの組み合わせを志向するようになっている。そのためプライベートクラウドでも、コンテナ、サービスメッシュ、CI/CDパイプライン、スケーラビリティといった要件を満たす必要がある。

 2つめの要件が「セキュリティ、生成AI、コストの予測可能性」だ。パブリッククラウドからの移行を考える多くの企業が「セキュリティとコンプライアンス」を課題に挙げており、生成AIの登場でその課題はさらに重要なものになっている。加えて、パブリッククラウドのコストがうまくコントロールできていない問題もある。これからのプライベートクラウドでは、こうした課題を解消する必要がある。

 最後の要件が「ITサイロの解消」だ。プライベートクラウドの運用において、サーバー担当とネットワーク担当の分断、あるいはITインフラ担当と開発者の分断といった、組織的な分断がネックとなる。この課題を解消しうる単一のプラットフォームが必要だ。

 さらに山内氏は、日本市場特有の課題として「不確実な経済状況」「労働人口の減少」「経済安全保障の強化」という課題もあり、これらの課題解決にITが寄与していくためにも「ITインフラストラクチャの再定義」が必要だと強調する。

 「ヴイエムウェアでは長年、サーバー仮想化技術を日本のお客様に提供してきたが、その課題も浮き彫りになっている。(必要とされているのは)ITインフラ全体として運用効率が高く、コスト管理/制御ができること、従来の仮想マシン(VM)だけでなくコンテナ、生成AIといった新しいアプリケーションも包含して事業変化に追随していけること、そしてインフラプラットフォーム自体が強固でセキュアであることだ」(山内氏)

 こうした要件をかなえるのが、ヴイエムウェアが提唱する“モダンプライベートクラウド”であり、それは「パブリッククラウドが実現するメリット」と「データセンターが実現するメリット」の両方を融合させたものだと語る。そして、その実現を目指したのが今回のVCF 9.0だと説明した。

 「日本のマーケットのお客様に共通する課題認識として、どのタイミングでモダンプライベートクラウドへの技術的なレベルアップが可能か、ということがあると考えている。われわれとしては、パートナーを通じてお客様をしっかりサポートし、(VCF 9.0が実現する)その価値を提供していきたい」「モダンプライベートクラウドの世界観については、非常に共感いただいていると考えている」(山内氏)

“モダンプライベートクラウド”は、パブリッククラウドとデータセンターそれぞれのもたらすメリットの提供を目標とする

大手顧客1万社のVCF採用率は87%に到達、「非常に満足している」

 ブロードコムによる買収後、ヴイエムウェアではvSphere、vSANといったコンポーネント単体での販売から、それらを一体化した統合プラットフォーム製品=VCFの販売へと大きくかじを切った。なお、大規模プライベートクラウド向けのVCFのほかに、中小規模仮想化環境向けの「VMware vSphere Standard(VVS)」や「VMware vSphere Foundation(VVF)」もラインアップしている。

 グローバルの主要大規模顧客1万社のうち、VCFを契約した企業は87%に達しているという。山内氏は、今後VCFの採用はさらに増えていくだろうとの見通しを示した。

 加えてターナー氏は、このVCF採用率の数字について「非常に満足している」と述べた。

 「(大規模企業の)カスタマーベースの87%にVCFが採用されているというのは、われわれの想定以上の成果だ。VMware(の仮想化基盤)でなく、プライベートクラウド基盤に対してしっかりとした需要が存在することを示している。先ほど山内から、CIOサーベイの結果やそこから読み取れる顧客ニーズをお話ししたが、それを裏付ける結果と言えるのではないか」(ターナー氏)

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