初代モデル登場から15年
すっかり魅せられて13インチの大型モデルも衝動買い
電子メモパッド「Boogie Board(ブギーボード)」。日本ではキングジムが展開しているこの製品を、筆者はキングジムが扱う前の時代から愛用してきた。初代モデルが米国のIMPROV ELECTRONICS社から登場したのは2009年末。紙に似た筆記感とワンタッチ消去のシンプルさに、その頃から魅せられていたのだ。
Boogie Boardは、専用のスタイラスや爪先でも筆記でき、ボタン1つで全消去が可能な反射型電子メモである。表示保持時には電力を消費せず、自然光で視認できる「コレステリック液晶(Cholesteric Liquid Crystal Display:ChLCD)」という特殊な技術が用いられている。
Kent Displays社ではこの技術を「Reflex display technology」と呼んでおり、一般的なバックライト付きLCDとは大きく異なっている。この方式は電源を切っても画面に筆記内容が残り続ける「メモ保持型」の構造で、電子ペーパーにも似た反射型の特性を持つ。
一方で初期の段階から、「部分消去ができない」という根本的な仕様については長らく賛否があった。一時的に部分消去対応モデルも登場したが、複雑化によるコストアップや誤動作の問題からか、短命で終わっている。そんな“割り切りの潔さ”こそが、Boogie Boardが今なお支持されるゆえんなのかもしれない。
今回、懲りずに筆者が衝動買いしてしまったのは、キングジムが国内販売しているBoogie Boardとしては最大サイズの13インチモデル「Boogie Board BB-19」だ。キングジムの製品ページでも最大と明記されているが、実際には他社製モデルでは21インチの超大型版(ThinkPad X1 nanoを開いた画面+キーボードの大きさ)も存在する。
同梱物はいたってシンプル。本体、スタイラス、簡易説明書と、スマホ用キャプチャアプリ「Boogie Board SCAN」の案内カードのみ。画面サイズはThinkPad X1 nano(13インチ)の液晶画面サイズとほぼ同じで、縦横は異なるがノートPC感覚のサイズ感といえばイメージしやすいだろう。
スペックは極めてシンプルで、筆記面は約13インチ、バッテリーはCR2025ボタン電池1個で、長期間駆動が可能だ。筆圧対応で筆記の強弱をある程度再現できる点も従来どおりである。筆記後の文字や線の色も従来と同じ淡いブルーグリーン系だ。
本物の紙のような書き心地はやや大げさだが、確実に進化している
書き心地に関して、公式の製品紹介では「まるで紙のような滑らかさ」とうたわれることが多いが、それは少々言い過ぎだ。最近のタブレット+スタイラスよりも「紙に近い自然な描線」を感じる場面もあるが、筆者の十数年に渡る使用経験から言えば、「本物のペンとは違う」と感じる瞬間も多い。ただ、今回のBB-19は筆記面と額縁の段差が少なく、手の小指側を画面に付けて筆記でき、指先にストレスのない書きやすさは確実に進化していると感じた。
面白いのは、スタイラスの固定機構である。本体右側にマグネット吸着するスタイルは平均的だが、今回はさらにスライドロック機構が追加された。スライドさせることでスタイラスを横に引っ張っても外れなくなり、さらにスタイラスロック機能を併用すれば移動中の紛失防止にもなりそうだ。主たる企業ユーザーの声を反映した結果だろうが、筆者としては若干の“やり過ぎ”感も否めない。
また、このスタイラス吸着部とは反対側、すなわち本体向かって左側の側面にも、数ヵ所にマグネットが埋め込まれていることに気づいた。現時点では明確な用途は見えないが、将来的にフリップ式のカバーや、壁掛け対応アクセサリの取り付けを想定した構造なのかもしれない。
消去方法は従来と同じで、スタイラス後端の磁石で額縁の所定の箇所をタップするか、本体右下のボタンを押す。タップ消去の反応は良好で、力を入れずとも軽快に全消去できて気持ち良い。一方、誤消去防止スイッチが無く、うっかり消してしまうという心配の種は残るだろう。ここはどう割り切るかだろう。
今回のモデルは背面全体に滑り止め加工が施され、デスク上での安定性も高い。これにより、外出先やカフェでも安心して筆記できるようになっている。

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