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Interop Tokyo 2025 現地レポート

ネットワークOS+ホワイトボックスで高いスケーラビリティを実現

KDDIが採用したDriveNetsのネットワークOS AIトラフィックに悩む通信事業者に選択肢

2025年06月12日 12時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 Interop Tokyo 2025の展示会場にひっそりブースをかまえるDriveNetsは、2015年にイスラエルで設立されたネットワークOSのベンダーだ。おもに通信事業者をターゲットとし、コアからピアリング、アグリゲーション、エッジまで含めたネットワークをソフトウェアで提供する。

ベンダーロックインからの解放を目指す通信事業者が熱視線

 DriveNetsのOSは分離分散型シャーシ(Distributed Disaggregated Chassis)というアーキテクチャを採用しており、キャリアグレードルーターのコントロールプレーン、ファブリックエンジン、ラインカードなどを汎用サーバーやOCP(Open Compute Project)対応のホワイトボックススイッチに実装し、論理的に1台のキャリアグレードルーターとして機能させることができる。単体で2.4Tbps、最大クラスターで819Tbpsの伝送容量まで拡張可能だという。

 「ネットワークOS+ホワイトボックススイッチ」という組み合わせは決して真新しいソリューションではないが、最近ではベンダーロックインからの解放を進めたい大手通信事業者での採用が相次いでいる。大手ベンダーの製品はハードウェア面での制約があるのに加え、OSやソフトウェアの管理も大変。昨今の物価高騰や機材調達の不安定さもあり、通信事業者からすると設備計画が立てにくい状況にある。

 こうした中、ハードウェアとソフトウェアを分離することで拡張性の高いネットワークを実現するDriveNetsのようなソリューションは、多くの通信事業者を魅了している。昨今ではAIの急激な需要拡大でトラフィックも増加しており、通信事業者も迅速な設備の拡張、設備投資や運用コストの最適化が必須となっており、ネットワークのオープン化技術に積極的になっているわけだ。たとえば、NTTも2023年にネットワークOS「Beluganos」を製品化し、オープンなインフラの実現を目指している。

 その点、DriveNetsは米国のAT&Tやコムキャストといった大手通信事業者のインフラで採用されて、約2年間でかなり実績を積んできたという。そして日本でも先頃2025年5月にKDDIとDriveNetsとの戦略的なパートナーシップが締結されている(関連ページ:KDDIとDriveNets、ネットワークのオープン化加速に向け戦略的パートナーシップを締結)。2025年度中には、主要4拠点のバックボーンネットワークにあるコアルーターの制御ソフトウェアにDriveNetsを導入し、商用運用の開始を目指すという。

 Infinibandではなく、標準Ethernetを用いるAIネットワーク用のファブリック「DriveNets Network Cloud-AI」も用意されている。こちらは数百台のクラスターで最大2.5Pbps、最大32K GPUまでサポート。低遅延やマルチテナントの要件も満たす。こちらはTikTokを展開するByteDanceのグローバルデータセンターでの導入がすでに発表されているとのこと。AIネットワークに悩む通信事業者に新たな選択肢が生まれたと言える。

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