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「遅延は最短0.1秒」で双方向の反応を可能にするGPAP over MoQ技術を共同開発

ライブビューイングでもコール&レスポンスがしたい! ヤマハとNTT Comが新技術

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「GPAP over MoQ」を使ったライブビューイングの実証実験が、ヤマハ銀座スタジオで公開された(写真はライブビューイング会場側)

 ぴあ総研やコンサートプロモーターズ協会(ACPC)の調査によると、昨年(2024年)の国内における音楽ライブ/コンサートの市場規模は過去最高規模に達し、今年以降も継続的な成長が見込まれているという。

 それに呼応するかたちで盛り上がりを見せているのが、ライブ会場から離れた地域の映画館などでライブに参加する「ライブビューイング(音楽ライブのパブリックビューイング)」だ。こちらも、昨年は全国規模での大型イベントが開催されるなど、市場は急速に拡大している。

 ただし、これまでのライブビューイングは、基本的に「一方向」の配信にとどまっていた。ライブ会場からの映像/音声伝送には主に衛星通信が使われており、「低遅延」「双方向」の通信は難しいからだ。そのため、ライブビューイング会場で得られる“臨場感”も限定的なものだった。

 この課題を解決すべく、ライブ会場のプロ向け音響機器を多く手がけるヤマハと、通信キャリアのNTTコミュニケーションズ(NTT Com)が、低遅延/双方向のライブビューイング技術「GPAP over MoQ(ジーパップ オーバー エムオーキュー)」を共同開発し、2025年5月に実証実験を行った。同技術について解説したうえで、実証実験の模様をレポートする。

本会場後方には大型スクリーンを設置。サテライト会場からの拍手、声援などが本会場に届けられ、ライブを盛り上げた

“ライブの真空パック”を実現するGPAP+低遅延伝送を実現するMoQ

 GPAP over MoQは、次世代のメディア(映像/音声)向け低遅延プロトコルである「MoQ(Media over QUIC、エムオーキュー)」に載せて、ヤマハが開発した汎用オーディオプロトコル「GPAP(General Purpose Audio Protocol、ジーパップ)」のデータを伝送する独自技術だ。MoQの研究に取り組むNTT Comと、GPAPを開発したヤマハの両社が共同で技術開発を進めている。

 GPAPは、音声/映像/照明/VJ映像/レーザーなど、ライブ公演の舞台演出に関するあらゆるデジタルデータを1つのフォーマットに統合することで、タイミングのズレがないかたちで記録/再生を可能にする(詳しくは後述する)。

 一方、MoQは、インターネット経由でも低遅延でメディアデータの伝送を可能にする次世代プロトコルである(現在W3C/IETFで標準化作業が進行中)。従来のメディア向けプロトコル(HLS:HTTP Live Streaming)では最短3秒程度の遅延が発生していたものを、「最短0.1秒」に抑えられるという。

 今回のGPAP over MoQは、この2つのプロトコルをベースとして、インターネットや5Gといった品質にばらつきのある回線でも利用できるよう、「データ圧縮の最適化」「データロスのリアルタイム復元」「ネットワーク品質に適応したメディア品質制御」の各機能を追加している。

両社が共同開発した「GPAP over MoQ」の技術特徴

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