Foxconn、AIを成長戦略の中核に据え「AI Factory」を推進 COMPUTEX2025基調講演
2025年05月20日 20時00分更新
5月20日、鴻海科技集団(Foxconn)は20日、COMPUTEX TAIPEI 2025の基調講演において、AIを同社の成長戦略の中核に据え、「AI Factory」を新たな重要イニシアチブとして推進していく方針を発表した。
基調講演に登壇した同社のChairman Young Liu氏は、AI Factoryが、グループが注力するスマート製造、スマートEV、スマートシティという三大プラットフォームの計算基盤となることを明らかにした。これにより、フォックスコンは単なる製造業者から、インテリジェント製造のグローバルなイネーブラーへと自己の役割を再定義している。
Liu氏は、このAIを中核とする変革の歩みが、約1年半前のNVIDIAのジェンスン・ファン氏との対話に端を発していると振り返った。その際にファン氏が手描きしたイラストが、現在のAIへの取り組みの精神的な始まりとなったという。
スマート製造の「Genesis」時代
Liu氏は、FoxconnがAIを活用したスマート製造において「Genesis」と呼ぶ新しい時代に突入したと説明。このプロジェクトでは、AIエージェントが専門家の知識を捕捉し、欠陥解決や設備調整といった作業の80%を効率化する。これにより、人間の熟練技術者はより高度で複雑な20%の作業に注力できるようになる。AIエージェントの導入により、生産サイクルタイムが10%以上改善された実績もあるとし、AIエージェントは専門知識をトークン化し、異なる工場間での知識共有と専門性の拡大を可能にする基盤を築いていると話す。
さらに、NVIDIA Omniverseを利用した次世代ロボット(フィジカルAI)の開発も進められている。これらのロボットは、Omniverse上の数百万回のシミュレーションによってトレーニングされ、現実世界での複雑なタスクを人間の介入なしで実行できるようになる。Genesisは、革新的なユースケース、トークンリポジトリ、強化された技術スタックを統合し、AI技術を大規模に展開するための基盤を提供する。
未来の工場像として、Liu氏は物理工場に加えて、Omniverseによるデジタルツイン工場とAI工場が不可欠な要素となるとの見方を示した。最初にデジタルツイン工場を構築・最適化し、次にAI工場がデータに基づいてモデルを作成・最適化することで、物理工場は最後に建設されることになる。
Foxconnの広範で複雑な工場ネットワークに対応するため、AIモデルの展開と進化をサポートする適切なアーキテクチャーの重要性をLiu氏は強調。中央部門で開発されたベースモデルを世界各地の工場が利用し、そこで得られた実データでトレーニングした結果を中央モデルにフィードバックすることで、モデル全体の継続的な学習と改善を図るシステムを構築しているという。

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