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楽しく暮らして脱炭素できたら最高じゃん。「TOKYO GX ACTION CHANGING 〜未来を変える脱炭素アクション〜」レポート 第21回

「TOKYO GX ACTION CHANGING 〜未来を変える脱炭素アクション〜」内の凱旋ショーより

ファッションブランド「アンリアレイジ」世界的に高い評価を受け続ける理由

2025年05月20日 12時00分更新

文● ASCIIファッション研究会

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「TOKYO GX ACTION CHANGING 〜未来を変える脱炭素アクション〜」内でスペシャルイベントとして実施された、凱旋ショーの模様

“日常”を疑い、“未来”を縫うブランド

 アンリアレイジ(ANREALAGE)は2003年、デザイナー・森永邦彦によって東京で設立された。ブランド名は、「A REAL」「UN REAL」「AGE」(現実/非現実/時代)を組み合わせた造語で、ブランド創設以来、繊細なパッチワークや人体の形にとらわれない独創的なシルエット、そしてテクノロジーや新技術を積極的に取り入れたものづくりが特徴。

 5月17〜18日に東京ビッグサイトで開催された、「TOKYO GX ACTION CHANGING 〜未来を変える脱炭素アクション〜」内でスペシャルイベントとして、凱旋ショーが実施された。

キャリアのスタートと評価の高まり

 早稲田大学を卒業した森永は、在学中から服づくりを独学で始め、既製服ではなく、「既成概念」を壊す服を求めて試行錯誤を重ねた。

 2005年には東京コレクションに初参加。以後、目を引くのはその“異様なまでの手間”と“問いのある服”だった。

 たとえば……

・巨大な服(着る人を大きく上回るサイズ)
・カメラで撮ると色が変わる服
・光を当てると模様が浮かぶドレス
・身体が消えて見えるような構造のコート

 どれもが、単なるアイデア勝負ではなく、哲学的な問いかけと、クラフトの精度が共存している存在だ。

「ギャルソン以後」の次を提示した

 日本のファッションは長らく、コム デ ギャルソン(川久保玲)やヨウジヤマモト、イッセイミヤケといった巨匠たちの影響下にあった(現在もある)。

 これらのブランドもそれぞれ異なる特徴を持っているが、これらのブランドと、その影響下にあるブランドが生み出したジャパニーズ・モードをひとつの潮流と捉えるなら、アンリアレイジはその延長線上というよりも、横から飛び出してきた存在と評価する見解もある。

なぜ評価されるのか? アンリアレイジの5つの革新

 ここで、ブランドが持つ魅力を整理して考えてみよう。それは、大きく分けると次の5つになるだろう。

1. 常識を疑う力
 「服とは何か?」を“着やすさ”や“トレンド”ではなく、「サイズとは誰の基準か」「布の定義は?」といった問いに置き換える。哲学的でありながら、子供の発見のような純粋さを持っている。

2. テクノロジーと感性の融合
 AR、AI、光、温度感知素材……新技術を単に導入するのではなく、それが「見る・感じる・理解する」行為そのものにどう影響するかを問い続けている。

3. 時代性への鋭さ
 パンデミック、情報化、気候変動など、社会の変化に即応しながら、「服がどう機能するか」「人の距離感がどう変わるか」を読み解く。常に現代の空気と接続している。

4. 東京的な混成感
 ファッションスクール的な美しさやパリ的な完成度よりも、東京のストリート感、手芸的感覚、生活感覚が根底にある。その“雑多さ”が、むしろ世界でユニークに映る。

 2014年、パリ・ファッションウィークに初参加。初回からメディアの注目を集め、「日本の次を示したブランド」として高い評価を得る。BeyoncéやFENDIとの協業、2023年のメタバースファッションショーなど、次世代のファッションの可能性を常に実験・提示し続けている。

ファッションを“考える行為”へ

 アンリアレイジは、ファッションを「着るもの」を越えた「考えるもの」「問いかけるもの」「世界の見方を変えるもの」へと拡張してきた。

 だからこそ、“簡単に真似できないブランド”として、多くの人が敬意を抱いているのだろう。

2025年5月20日:掲載時、一部の情報に誤りがありましたので、訂正いたします。

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