ドライブベイも拡張スロットも必要最低限でよし
ミドルタワー=パワーはもう古い 静音PCの雄・サイコムが謳う「今こそ小型ゲーミングPC」の説得力
2025年05月21日 10時00分更新
やや高価でも狙い通り売れた小型ゲーミングPC
PCケースやマザーボードなど、小型PC向けのPCパーツはどうしても価格が高くなりがちだ。そのため、それに見合う高品質で購入後のサポートまでしっかり整っているPremium Lineシリーズが最初の観測気球として選ばれたのだろう。需要がいかほどのものかわからないところからのスタートだったが、狙い通りそれなりの数が売れたそうだ。
「価格は高めでしたが、それでも小型のゲーミングPCに魅力を感じて買ってくださるお客様が多くて、ほっとしました。これなら、もっとコンパクトなモデルを増やしてもいいなって思いましたね」(佐藤氏)
次にリリースしたモデルは、G-Master Spear Miniだ。Premium Lineよりも安価なぶん、ぐっと身近になった小型ゲーミングPCと言える。容量26.3L、サイズ194(W)×443(D)×305(H)mmのMicro-ATXモデルとなる。

現在は「G-Master Spear Mini B860」と「G-Master Spear Mini B850A
」の2モデルを展開
PCケースはLian Liの「A3-mATX」を採用。サイズはPremium Line Miniよりも大きめだが、マザーボードにMicro-ATXが使えるため、より自由度の高いカスタマイズ性が魅力のモデルだ。簡易水冷クーラーや大きめの空冷クーラーが入るし、PCケースはホワイト、ブラック、ウッドから選べるほか、強化ガラスのサイドパネルにも変更できる。
「スペックのカスタマイズはもちろんですが、強化ガラスにしてマザーボードも水冷クーラーも白に統一したPCにするとか、ウッドで高級感を出すとか、そういった見た目もこだわれるところがG-Master Spear Miniのウリです。うちの社長が自分で欲しいと言うほどでして。売る側が自分で欲しいと思えるものは“本物”だって思うんですよ」(佐藤氏)
G-Master Spear Miniは昨年12月に発売し、年末にものすごく売れたとのこと。ラインアップが若干変わった今でも人気が高く、売れ続けているという。
ポイントはMicro-ATXマザーボードにある。それは、小型ゲーミングPCの難題の1つに、Mini-ITXマザーボードの選択肢の少なさがあるからだ。もちろん、種類は昔よりもだいぶ増えているが、“廉価なモデル”は稀有だ。
「Mini-ITXは数が出ないため、Micro-ATXなどと比べるとどうしても高くなります。すると売れない。それならばと、付加価値を高くするために機能を追加し、ハイエンド向けに設計するわけです。そうするとさらに高くなりすぎて、余計売れなくなるんですよ。負のスパイラルです」(山田氏)
Mini-ITXを採用したくても、機能が盛られたハイエンド製品だと6~7万円はする。となると、当然PCの価格が跳ね上がるので採用しづらい。依然はそんな状況にあったものの、ここ最近は変化が見えてきたらしい。
「ここにきて、ASRockがB860I WiFiというMini-ITXマザーボードを出してくれたんです。これといった個性がある製品じゃなくて、ごく普通のマザーボードなんですよ。特殊な機能とかもなく、ホントに普通。でも価格がかなり抑えられていて、使いやすいんです。それがむしろ、“革命的”だとすら思いました」(山田氏)
このマザーボードを採用し、G-Master Spear Miniよりもさらに小型のゲーミングPCとして誕生したモデルが、G-Master Velox Miniとなる。
さらに小さく、コスパの高いモデルとしてVelox Miniを投入
「G-Master Spear Miniで小型PCが大きく伸びたので、もっと小さくてもいいだろうということで、Mini-ITXを採用したG-Master Velox Miniを出しました。PCケースはDeepCoolのCH160で、容量は19LなのでG-Master Spear Miniの26.3Lよりひと回り以上小さくなったというイメージです」(山田氏)
カスタマイズ性はG-Master Spear Miniに譲るものの、もともとG-Master VeloxシリーズはBTOメニューを減らし、定番PCパーツを使うことで安定性とコスパを追求したモデルだ。また、PCパーツの知識が少ないゲーミングPC入門者でも、迷わず購入できるところがウリのシリーズでもある。ゆえに、カスタマイズできる幅が狭いという特徴はデメリットにならない。
G-Master Velox Miniは3つのモデルを展開している。ほかのシリーズだと、Core Ultraを採用するIntel Editionと、Ryzen 9000シリーズを採用するAMD Editionのたいてい2つだが、第14世代Coreプロセッサーを採用するIntel Editionもある。

「G-Master Velox Mini B860 Intel Edition」のCPUは、Core Ultra 200Sシリーズ。「G-Master Velox Mini B760 Intel Edition
」は第14世代Coreプロセッサー。「G-Master Velox Mini B650A AMD Edition
」はRyzen 9000シリーズとなる
「コスパの高いゲーミングPCとして、なんとか税込20万円を切りたかったんです。なので、今はかなりお手頃になった第14世代Coreプロセッサーを採用するモデルを追加しました」(佐藤氏)
直販価格を見てみると、確かにG-Master Velox Mini B860 Intel Editionや同B650A AMD Edition
の標準構成は22万円台だが、同B760 Intel Edition
は19万5230円と明らかに安い。しかし、1世代前のCPUのため、性能面で見劣りするのではないかという懸念はある。
「もちろん、Core Ultraと比べれば電力効率は見劣りしますが、ハイエンドでなければそこまでひどくないんですよ。ゲーミングならCore i5やi7でも十分な性能があります。コスパを考えると、むしろ今こそ第14世代Coreプロセッサーが狙い目だったりします」(佐藤氏)
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
