シャオミのスマートフォンはメインラインの「Xiaomi」、価格重視の「Redmi」に加え、パフォーマンスを重視したコスパモデル「POCO」シリーズの3つのブランドで展開されています。この中でもPOCOは「F」「X」「M」と3つのラインの製品を日本でも出し、存在感を急激に高めています。
POCOはほかのシャオミ製品とどう違うのか、3月にシンガポールで開催したPOCO F7シリーズ発表会の会場で、製品の開発戦略をPOCOのプロダクトマーケティング責任者であるAngus Ng氏に聞きました。
──POCOはシャオミの中でどのような位置づけの製品なのですか
POCOは2018年にシャオミのサブブランドとして誕生し、独自のブランド戦略を展開しています。特にオンライン販売に特化し、低価格で高性能なスマートフォンを提供することを最大の特徴としています。近年はフラッグシップ級の性能を持つモデルも増え、ブランドのポジションが進化していますが、「最高の投資価値」を重視する姿勢はブランド誕生当初から変わっていません。シャオミの製品とは研究開発やリソースを共有しながら、POCOは独立したブランドとして製品企画や販売などを自ら行なっています。
──3月には初のUltraモデル「F7 Ultra」を投入しました
POCOは近年、単なる低価格ブランドから「パフォーマンス重視のフラッグシップ級スマートフォン」を提供するブランドへと進化しています。これは他社が取り組まない高コストパフォーマンス路線を徹底し、限られた選択肢の中で最良の価値をユーザーに提供することを目指しているためです。「F7 Ultra」は昨年、一昨年のハイスペックなモデル「F5 Pro」や「F6 Pro」の成功を受け開発を行ないました。今後も市場やユーザーの声を反映しながら製品を進化させていく考えです。
──さらなる製品展開、たとえばゲーミング特化モデルの投入は考えていますか?
この分野の製品は実は過去に「F4 GT」を投入しました。しかし市場規模や需要の観点から、現時点でゲーム特化のモデルの展開予定はありません。専用ゲーミングモデルと通常のフラッグシップモデルの性能差も縮まっており、多くのユーザーは日常用途とゲームを両立できるモデルを求めています。そのため今後も「高性能な汎用スマートフォン」に注力する方針です。またゲームパッドなどのアクセサリの展開も現時点では予定はなく、他ブランドとのコラボレーションを検討しています。
──性能や機能の一部を抑えている点も見られますが、コストの関係でしょうか
カメラ機能やソフトウェアの一部に妥協が見られることは素直に認めています。たとえば超広角カメラでの4K撮影やRAW撮影が未対応ですが、これは技術的には可能です。ただし、リソースやコスト、優先順位の観点から現時点での実装を見送っています。カメラの進化は今後の課題であり、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、段階的に改善を進めていく意向です。
──POCOと言えばボディーのイエローカラーが印象的です
イエローはPOCOブランドの象徴でもあり、その色味や質感にこだわりをもって設計しています。マット仕上げで鮮やかな黄色を再現するのは技術的にも難しく、光の当たり方や素材によって色味が変化してしまうこともあります。また、実はコスト増にもつながっています。それでもブランドの伝統を守るため、今後もこの色を使い続ける方針です。
──他社と比べソフトウェアのサポートはどこまでありますか?
ソフトウェアサポートについては、ここ数年で大幅に改善されており、アップデートやセキュリティパッチの提供期間も延長しています。ユーザーの買い替えサイクルやコストを考慮しつつ、今後もより長期のサポートを検討しています。他社が7年サポートを打ち出す中で、POCOも同様の方向性を模索していますが、現時点ではコストや開発リソースとのバランスを重視しています。
──今後の展開を教えてください
POCOは「最高のコストパフォーマンス」を軸に、ユーザーの声を反映しながら柔軟に製品開発とブランド戦略を進めており、その姿勢を貫いていく方針です。今後もオンラインチャネルを活用し、グローバル市場での認知拡大とユーザー満足度向上を目指し続けます。機能やデザイン、価格のバランスを追求しつつ、ユーザーの期待に応える製品づくりを続けていくことがPOCOブランドの最大の強みであり、これからもその価値を高めていく予定です。

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