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柳谷智宣の「簡単すぎて驚く生成AIの使い方」 第16回

GmailとGeminiの連携で業務効率化 請求・支払いなどの経理タスクをより簡単に!

2025年05月23日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第16回はGmailとGeminiを連携して経理業務を効率化する方法について解説する。

GmailとGeminiの連携は想像以上に効率的

 チャットでやり取りするだけが生成AIの活用法ではない。既存のサービスに融合することで、今までできなかった活用ができるようになるのだ。特に、日常使いしているGmailとGoogleの生成AIであるGeminiの連携は、ビジネスパーソンの作業効率を格段に向上させる可能性を秘めている。

 筆者はタスクに関するメールには即レスを心掛けているのだが、お金に関するメールは時間のある時にゆっくり返信しようと後回しにする癖がある。そして、対応を忘れてトラブルになることもある。そこで、GmailとGeminiを連携させて、依頼、請求、支払い関連のタスクを処理させてみたところ、思いのほか効率的だった。そこで今回は、GmailとGeminiを連携して活用する方法を紹介しよう。

 まずは、Geminiの設定画面でGoogle Workspaceを有効にする。続けて、Gmailの設定画面から「全般」→「スマート機能」をオンにする。さらに、「Google Workspaceのスマート機能」→「Workspaceのスマート機能の設定を管理」をクリックし、「Google Workspace のスマート機能」と「他の Google サービスのスマート機能」を有効にすれば準備完了だ。

GeminiからGoogle Workspaceを有効にする

Gmailの設定画面からスマート機能を有効にする

 これでGmailのツールバー右側にあるGemini(星)アイコンをクリックすると、右側にチャットスペースが開くので、プロンプトを入力しよう。

 例えば、Geminiに「返信していない発注書のメールを探して」と指示することで、未返信の重要メールを洗い出すことが可能。Gmailという膨大なパーソナルデータを分析するのは生成AIの大得意な作業の一つ。受信箱内のメールを自動的にスキャンし、未返信のビジネス関連メールをリストアップしてくれる。

 このとき、単なるキーワード検索ではなく、メールの文脈や重要度を考慮した結果を提示してくれるのが生成AIの強みだ。特定の期間や取引先に絞った検索も可能。「この3ヵ月間で、返信してない発注書メールを教えて」といった具体的な指示にも対応してくれるため、優先度の高いタスクから効率的に処理することができる。

 試しに調べさせたところ、2通の未返信メールを発見。「ソース」にそのメールへのリンクがあるので、クリックしてメールを開き、内容を確認して返信すればいい。

Gmailのツールバー右側にあるGemini(星)アイコンをクリックする

■プロンプト
この3か月間で、返信してない発注書メールを教えて

返信メールの内容もGeminiを使う

 メールの本文を考えるのもGeminiにまかせよう。もちろん、Geminiの画面で作成することもできるが、コピー&ペーストを繰り返すのは面倒だ。せっかく、同じGoogleのサービスなのだから、Gmail側から利用したいところ。

 これもチャット画面にプロンプトを入力するだけ。「返信内容を考えて」と入れれば、Geminiが文章を創作してくれるが、これでは想定外の内容が含まれてしまう可能性がある。メールに入れ込む用件は、箇条書きでも口語でもいいのできちんといれておこう。

 例えば、今回は仕事の依頼が来たものの、締め切りとギャランティがきつい場合、交渉するメールを返したいというシチュエーションを想定。失礼のない文章を書くのは難しいが、そこはGeminiにまかせて、ユーザーは対応可能な締め切り日や金額を指定すればいい。

■プロンプト
返信内容を考えて。依頼の内容は可能。ただし、締め切りは25日に伸ばして欲しい。また、可能であればギャランティは通常12万円なので、対応可能か、くれぐれも失礼にならないように交渉してください。


 最初に出力された文章は相手の部署が入っていなかったり、冗長だったりしたので、そこを修正するように「相手に肩書を入れる。金額アップ無理でも対応できる」などと追加で指示。問題のない文章が生成されたので、「挿入」をクリックするとメール作成画面に文章が貼り付けられる。あとは、確認して送信すればいい。

■出力
株式会社うなぎメディア うなぎTech編集部 刈谷様

ご連絡ありがとうございます。ご依頼いただいた生成AI特集「最新AIサービス比較」(ChatGPT・Gemini・Claude・国内LLMなど)の4000字の記事執筆の件、内容拝見いたしました。執筆可能です。

つきましては、いくつかご相談させていただきたい事項がございます。締め切りに関してですが、5月25日まで延ばしていただくことは可能でしょうか。また、大変恐縮ではございますが、通常12万円でご依頼を受けておりますので、今回のギャランティについてご検討いただけると幸いです。もし、金額アップが難しい場合でも10万円にて対応可能でございます。

ご検討のほどよろしくお願いいたします。

柳谷智宣

Geminiが生成した文章がメール作成画面に貼り付けられ、送信準備が完了

GeminiからGmailのメールチェックすることも可能

 GeminiからGmailにアクセスすることも可能だ。Google Workspaceと連携していれば、「アスキーからの請求書関連の連絡を教えて」といった適当な指示でも処理してくれる。ただし、上記のプロンプトを実行したところ15年以上前のメールまでチェックし、報告してきたのでチェックする期間は指定したほうがいいだろう。

15年前の支払いに関するメールも見つかる

 試しに、前月にやりとりした領収書関連のメールをリストアップしてもらったところ、あっけなく成功。ただし、なぜか順不同だったので、日付順にするようにプロンプトを調整し、表組にさせてみるといい感じの出力が得られた。

■プロンプト
4月に受信したメールを検索し、領収書に関するすべてのものをチェックし、日付順の表組にしてください。

GeminiからGmailを検索し、メールを抽出してくれた

 以上が、GmailとGeminiを連携して依頼、請求、支払い関連のタスクを効率的に処理する方法となる。今はまだ、大量のメールを漏れなく処理することはできないようだが、直近のやりとりから自然言語で欲しいメールを抽出してくれるのはとても便利。まずは触ってみることをお勧めする。

 GeminiとGmailの連携はGoogle WorkspaceのBusiness/Enterpriseユーザーであれば、追加料金なしで利用できる。個人ユーザーもGoogle WorkspaceのページからGoogle Workspace Labsに登録すれば無料で利用できるようになる。

個人ユーザーでもGoogle Workspace Labsに登録すれば利用できる

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ChatGPTにネットショッピングを支援してくれる機能を新搭載

 OpenAIは2025年4月28日、ChatGPTにショッピング機能を追加した。ユーザーは自然言語で製品を検索し、パーソナライズされた商品をレコメンドしてもらうことができる。商品画像やレビューなどを閲覧できるほか、購入できるリンクも用意される。ユーザーがAIと対話しながら商品を探し、比較し、購入できるのが特徴で、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、「ショッピングをよりシンプルかつ迅速にするための実験」と語っている。

 例えば「料理好きの人へのプレゼント」や「200ドル以下のおすすめノイズキャンセリングヘッドホン」といった質問から、ChatGPTは購入意図を読み取り、関連する商品を表示する。

 試しに「1万円以下で、大容量のモバイルバッテリーを買いたい」と入力したところ、アマゾンやビックカメラのウェブサイトを検索し、条件に合う製品をピックアップしてくれた。製品をクリックすると、アマゾンやメルカリ、au PAYマーケットなどへの購入リンクが表示される。OpenAIによると、表示される商品がアルゴリズムによって独立して選ばれたものであり、広告ではないという。一般的なショッピングサイトだと広告優先で表示されることが多く、ChatGPTのレコメンドはユーザーにとってありがたい機能となるだろう。

 この機能は「Plus」「Pro」「Free」プランのユーザーだけでなく、ログインしていないユーザーも含め、ChatGPTが利用可能なすべての地域で順次提供が開始されている。

ChatGPTのショッピング機能はすでに日本でも利用できる

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