先日、ラーメン屋の隣に座っていた若者たちの会話は「出社が増えてきているけど、都内は家賃が高すぎて会社の近くに引っ越せない」だった。今は実家から1時間かけて通っているらしいが、オフィスに近づくほど家賃相場は上がるので、「支払える金額の物件を探すと、やっぱり1時間くらいかかる」とこぼしていた(盗み聞きして、すいません)。
オフィス回帰の流れは顕著だ。先日はアクセンチュアが週5日のフル出社になったというニュースも話題になった。しかし、コロナ禍の「ニューノーマル」に対応し、テレワーク前提で引っ越したり、自宅に設備を整えた従業員にしてみると、「いまさら出社と言われても……」というのが本音だろう。家賃が上がったため、都内のオフィスの近くに引っ越すのはもはや難しいし、今住んでいる住宅の賃料ですら上がる可能性が高い。
実際、昨今の家賃の高騰ぶりには驚きを隠せない。先週ライフルから発表された調査リリースでは、23区においてシングルの賃料は初めて10万円を突破し、中古マンションの相場も8000万円台に上がったとある(関連ページ:東京都シングル賃料は初の10万円台、23区中古マンションは8,000万円台に首都圏中古一戸建て価格は19ヶ月ぶりに前年同月を上回る)。また、家賃の高騰は首都圏にとどまらず、大阪、名古屋、福岡、札幌などにも及んでいるという(関連ページ:【アットホーム調査】全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向(2025年3月))。これでは、いくら新入社員の給与が上がっても、家賃の上がり方が急激過ぎて、なかなか実家を出るのは難しい。
ということで、オフィス回帰の会社も、改めてテレワークはいかがだろうか? 今テレワークを続けている会社も、コロナ禍でスキルとインフラをそれなりに備えたからこそ継続できているはず。加えて求職者自体もいまだにリモートワークを求める傾向は強いという(関連記事:出社回帰でも求職者は“リモートワーク志向”強める/ソフト開発企業の倒産増加/米国の4割はトランプ関税支持、ただし……、ほか)。「テレワーク」や「オフィス回帰」といったトレンドに流されず、両者のメリットを冷静に比較検討し、腰を据えて業務環境を整えていかなければ、会社は従業員に愛想を尽かされかねない。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。

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