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今後の成長戦略に自信、「Google Cloud Next 2025」発表の狙いを幹部が語る

クラウドベンダー選択も「AI」が新たな軸に Google Cloud CEOが優位性をアピール

2025年04月28日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 4月初旬に米国で開催された「Google Cloud Next 2025」では、AIやAIエージェント関連でさまざまな発表があった。いわゆる“3大クラウド”の中ではシェアの低いGoogle Cloudだが、同社CEOのトーマス・クリアン氏は今後の成長戦略に自信を見せる。

 同イベント中に、クリアン氏や日本の事業を率いる平手智行氏らが出席して開催されたラウンドテーブルで語られた、Google Cloudの成長戦略について発言をまとめる。

Google Cloud CEOのトーマス・クリアン(Thomas Kurian)氏、グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表の平手智行氏

エージェント構築ツールなどを発表、Nextで500社以上の取り組みを紹介

 同セッションではまず、クリアン氏がGoogle Cloudの現状や、今回のイベントで発表された内容をサマライズした。

 Google Cloudは現在、世界に42のリージョンを展開している。アジアでは近年、マレーシアやタイなどに新たなリージョンが開設された。地理的な拡大に加えて、技術面でも強化を図っている。特に注目すべきは、AIの学習(トレーニング)と推論を目的とした、AIインフラ「AI Hypercomputer」の構築だ。

 「今回のイベント(Next)では、最新世代のTPUや、拠点間を接続する『Cloud WAN』を発表し、ストレージサービスなども強化した。Google Cloudは、AIなどのアプリケーション開発に最適な、高品質のコンピューティング/ストレージ/ネットワーキングを提供する」(クリアン氏)

Google Cloudが提供するAIスタック。AIインフラからモデル、フレームワーク(Vertex AI)、AIエージェントまで

 さらに、AIモデルでは「Gemini 2.5 Pro」「Gemini 2.5 Flash」を発表し、画像モデルの「Imagen」、動画モデル「Veo2」、音声モデルの「Chirp」なども強化した。新たな音楽のモデルである「Lyria」も登場している。クリアン氏は「テキスト、画像、動画、音声、そして音楽を、コンピューターが理解できるマルチモーダルを完成させた」と語る。

 AIフレームワークの「Vertex AI」では、200以上の基盤モデルが利用できる「Model Garden」を提供しているが、ここではMetaの「Llama」やAnthropicの「Claude」の各最新版を提供開始した。

 クリアン氏は、AIエージェント関連の強化について強調した。「推論や計画を行い、複雑なタスクを実行するエージェント構築のためのツールとシステムの提供も進めている。顧客やパートナーからの強い要望もある」(クリアン氏)。その一環として、エージェント開発ツールキット「Agent Development Kit(ADK)」を発表している。

 2024年末に発表済みのエージェントプラットフォーム「Google Agentspace」は、Microsoft SharePoint、SAP、Oracleといった業務アプリケーションと接続して、「企業内のあらゆる情報源から情報を検索し、それらをモデルに取り込んで要約や調査を行い、タスクを自動化する」ものだと説明する。

 クリアン氏が最後に触れたのは「データ主権(データソブリンティ)」である。今回は、オンプレミス設置できる分散クラウドソリューションの「Google Distributed Cloud」においてGeminiの稼働をサポートしている。

 「これにより、組織はデータセットを(オンプレミスのエアギャップ環境で)保護しながらAIを利用し、アイディアを保護できるソブリンAIが実現する」「日本を含むさまざまな地域でソブリンソリューションを提供しており、その国の規制に従ってデータと知財を保護しながら、Google Cloudのソリューションを使うことができる」(クリアン氏)

 今回のイベントで最も示したかったことは「Google Cloudの顧客が、AIを使って成果を出していること」だとクリアン氏は語った。

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