「動画の監視」「公開ダッシュボード」など顧客体験向上の新機能も
オブザーバビリティの負担増 New RelicはAIエージェントのエコシステムで解決
2025年03月24日 08時00分更新
顧客体験を改善する3つのオブザーバビリティ新機能
New Relicでは、AIエンジンの強化に加えて、オブザーバビリティの収集・分析・可視化の3つの領域でも、引き続き機能強化を図っていく。ここでは、一般提供開始(GA)となった、顧客体験を改善する3つの新機能について紹介する。
まずは、動画ストリーミングのオブザーバビリティを実現する「Streaming Video & Ads」だ。動画の品質向上に必要な情報を収集・可視化する機能で、モバイルアプリからブラウザ、専用の再生デバイスまで、幅広いチャネルの動画に対応する。
全体的な視聴体験を俯瞰したり、個別セッションの視聴体験を追跡したりと、フロントからバックエンドに至るまで動画体験の問題を特定するためのビューが提供される。
2つ目の新機能は、ユーザーの画面操作やUXの改善ポイントをAIが解説してくれる「Engagement Intelligence」だ。
ブラウザに埋め込まれたAIが、ユーザーのクリックなどのアクションや詳細なログを自動収集。その情報に基づき、ユーザー操作の要約や具体的なUXの改善策を提示してくれる。
「この2つの新機能によって、動画視聴から流出後のサイトまでの体験を改善できるようになる。こうして顧客改善を進めることで、売上などのビジネス成果につなげられる」(齊藤氏)
このようにオブザーバビリティをビジネスの成果につなげるには、経営陣を含むビジネス層にビジネス上の指標への影響を共有して、改善のサイクルを回していく必要がある。
改善のサイクルを回し、意思決定を加速させる新機能が「Public Dashboards」だ。非New Relicユーザーとの情報共有の手段が欲しいという声から追加された、ダッシュボードを公開する機能である。ビジネス層への共有だけではなく、MSP事業者のサービスオーナー向けのレポートや、SaaS事業者のユーザー向けのステータスページなどにも活用可能だ。
「Streaming Video & Ads」と「Public Dashboards」の機能は、追加のライセンス契約によって利用できる。
国内ユーザー数は3万を突破、進むオブザーバビリティの民主化
New Relicが国内法人を立ち上げたのは2018年になる。今では国内ユーザー数は32000人を突破。同社の副社長である宮本義敬氏は、「デジタルネイティブな企業だけではなく、流通業や製造業、通信業、金融業など幅広い国内企業に活用されている」と説明する。そんな同社がここ数年注力しているのが「オブザーバビリティの民主化」である。
New Relicは、開発者向けのAPMツールからスタートして、徐々に観測の対象領域を広げていった。その後、さまざまなツールを統合した“ワンプラットフォーム化”によって、データの関連性でより深く分析できるよう進化を遂げた。分析できる領域も増え、開発者以外の利用も増えてきている。
例えば良品計画では、ネットストアにおける顧客サポートチームが活用。New Relicでシステムトラブルの原因をつきとめて一次回答することで、問い合わせの対応速度を向上させた。エスカレーション先のエンジニアの負担も減り、システム改善に集中できるようになったことで、導入開始3カ月で問い合わせ件数は3分の1まで減ったという。
パナソニックグループの情報システムを担うパナソニック インフォメーションシステムズでは、ECサイトの顧客体験向上に活用。特徴的なのは、ダッシュボードを整備して、ビジネス部門との進捗報告にNew Relicを活用していることだ。部門を超えて同じ目線に立つことで、サービスの品質向上を目指している。
そして、New Relicが現在注力するのが、AIの力を用いて、専門的な知識がなくても“膨大なアラート”に対処できるようにすることだ。これにより、さらなるオブザーバビリティの民主化を推進していくのが、現在の戦略である。













