荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第911回
3000mmは望遠過ぎた! 125倍ズームのコンデジ、ニコン「COOLPIX P1100」で猫をドアップで撮影
2025年03月12日 12時00分更新
数年前、ニコンから超弩級のコンパクトデジカメが登場したのである。見た目も重さもまったくコンパクトじゃないけど、レンズ一体型のカメラをコンパクトカメラと呼ぶ慣習があるのでしょうがない。
なぜデカいかというと、超望遠だから。なんとズーム倍率は125倍。35mm判換算で24-3000mm。300mmじゃなくて3000mmなのだ。デカすぎてピンとこないレベルの数字。それが今年、リニューアルして再登場したのである。ニコンの「COOLPIX P1100」だ。
これならどんなに遠くからでも猫を狙えるぜ、ってことで、ぶらぶら散歩しててふと見かけた猫からいこう。歩いてたら視界の片隅にもふもふした違和感を覚え、ふとそちらを見たら猫だったのだ。向こうと目が合ったのはいいけど、これ以上近寄るなオーラが出てる。望遠の出番である。
まずは普通に望遠で。普通の望遠レンズだとこのくらい(250mm相当くらい)。
P1100の手にかかると、これがどこまでアップで撮れるか。
ペットモードにすると、ペットを検出したとき自動的にシャッターを切ってくれるので、それに切り替えてぐぐっと寄ってみる。これで1300mm相当。
ほんとは3000mm相当という望遠端で撮りたかったのだけど、3000mm相当まで伸ばすと最短撮影距離が7mになる。つまり、近すぎてピントが合わないのだった。
では、もっと望遠で顔のアップを撮るぞってんで、とある神社の猫。ここの猫たち、毎日世話をしている人や常連さんには慣れてるけど、たまにふらりと顔を出すだけの私には懐いてくれなくて、遠くからしか撮らせてくれないのだ。
そこのふさふさ長毛猫で、超望遠に挑戦。隅っこにちょこんと座ってたので、まずは広角端(24mm相当)で。
そこからぐぐぐっと寄って、1600mm相当まで頑張ったのがこれ。これ以上アップにすると、ピントが合わなくなるのだった。これで近すぎてピントが合わないとか、距離感がバグりますな。

1600mm相当。ちょっと横顔になってしまった。これ以上アップにするとピントが合わないのである。つまり「遠くにいる猫の顔のドアップを、ちょうど撮れるレベルの望遠カメラ」なのだ。2025年3月 ニコン COOLPIX P1100
冒頭写真も、そんな感じ。
猫の顔のアップばかりでもつまらないので、膝猫をしている常連さんを撮らせてもらった。これは345mm相当。
ぐぐっと引いてみると、こんな感じ。膝の上でめっちゃ落ち着いて日が暮れそうになっても動かないのであった。
膝の上でとてもおとなしくしてるので、ちょっと撫でさせてもらおうかと手を伸ばしたら、シャーッと威嚇して、しゅっと爪を出した前足が伸びてきたので慌てて手を引っ込める始末。慣れてもらうためには、毎日のように通わなければならないようだ。まあそうだよな。
かくして、猫を撮るには3000mmは望遠過ぎたようである。3000mmで油断してる猫をこっそり撮ろう……って思ったのはいいけど、自分の肉眼視力では3000mmの出動が必要なほど遠くにいる猫には気づかないという恐ろしい現実が突きつけられそうである。
なお……住宅街でこんなカメラを持ってうろうろしていると、極めて不審者であるからして注意しましょう。人慣れしてない、あまり近寄れない猫の顔を、猫の警戒心を解きつつアップで撮れる無茶なカメラ、ってくらいの感じで使うのがおすすめです。
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筆者紹介─荻窪 圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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