「Oracle Database@Azure」の日本での提供開始も発表、「Oracle CloudWorld Tour Tokyo」レポート
OCIの取り扱いも始めたアイレット AWS、Googleに続く「第三の軸に」と語る
2025年02月18日 07時00分更新
加速するOCIの「分散クラウド戦略」、他社とのアプローチの違い
OCIキーノートの前に行われたオープニングキーノートにおいて、日本オラクル社長の三澤智光氏は、Oracle Cloudは「最後発、だが最先端」と述べた。
続くこのOCIキーノートでも、いわゆる“3大クラウド”(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud)とは異なるOCIのアプローチを強調した。
「オラクルでは、単一のクラウドベンダーへの依存から脱却できる『分散クラウド』戦略を設計している」と、オラクルが推進する独自のクラウド戦略を説明したのは、米オラクルでプロダクト&DRCC/Alloyカスタマー担当VPを務めるネイサン・トーマス氏だ。
「オラクルは、他のクラウドとは異なる方法で(OCIを)構築している。囲い込みモデルから顧客を解放し、クラウドの圧倒的な経済性、運用性、シンプルさを最大限に得られるようにしている」(トーマス氏)
オラクルでは、Oracle Databaseサービスを3大クラウドのデータセンター内で提供するサービス(「Oracle Database@AWS」など)、AzureやGoogle Cloudとのデータセンター相互接続サービス、顧客データセンター内で運用できるOCIサービス(「OCI Dedicated Region Cloud@Cusotomer」など)、各国のパートナーがそれぞれのデータセンターで運用するOCIサービス(「Oracle Alloy)を展開している。
つまり顧客は、OCIのサービスを、オラクルが運用するOCIのパブリックリージョン以外でも、多様な形態で利用できる。これが、オラクルが推進する分散クラウド戦略だ。
トーマス氏はそのメリットを、「個々のワークロードに最適なクラウドが選択できること」だと説明する。そのため、これまでのクラウド投資を保護しつつ、必要な環境でデータが利用できるという。
同日には「Oracle Database@Azure」を日本(Azure東日本リージョン)で提供開始したことを発表した(同西日本リージョンでも12カ月以内に提供開始予定)。トーマス氏は、「性能、回復力、セキュリティ、拡張性、多様なワークロードのサポートといったOracle Databaseのメリットと、柔軟性や最高クラスのサービスといったAzureのメリットの両方を享受できる」と述べる。
分散クラウド戦略で最も重要な役割を担う「OCI Dedicated Region Cloud@Customer(DRCC)」は、顧客データセンター内にOCIのプラットフォームを設置し、「顧客専用リージョン」としてオラクルが運用管理するもの。パブリックリージョンのOCIが提供する155以上のサービスがすべて利用できるほか、パフォーマンスやSLAもパブリックOCIと同じだ。
昨年9月のOracle CloudWorldで発表した「Dedicated Region 25」にも触れた。最小構成が3ラックとなったため(それまでは最小12ラックだった)、ラックスペース、電源、ネットワーク、メンテナンスなどの最小要件も緩和され、顧客のDRCC採用障壁を引き下げることにつながる。
OCIパブリックリージョン、Oracle Databaseサービスが利用できるAWS/Azure/Google Cloudのリージョン、DRCCやAlloyのリージョンを合計すると、その数は174に及ぶ(計画中も含む)
米オラクルグローバルCIO兼EVPのジェイ・エバンス氏は、AI活用をサポートするOCIの強みに触れた。
OCIでは、GPU向けに性能を最適化したベアメタルコンピュート、超高速なクラスタ処理を可能にするRDMAネットワークファブリック、最大12万8000GPUに拡張できる「OCI Supercluster」などの特徴を有している。また、AIサービスの構築もスタートしており、コード生成アシスタントの「Oracle Code Assist」や、自然言語でSQLクエリを作成できる「SQLエージェント」などを紹介した。












