「丸投げ的なPOCではなく、AIに対する“目利き力”の強化を」と提言
ブームに流されるな 期待高まる「AIエージェント」にガートナーが警鐘
2025年01月27日 13時00分更新
ガートナージャパンは、2025年1月14日、「AIエージェント」に対する見解を発表した。
ニュースリリースより
2024年後半から急速に市場における認知、そして期待が高まっているAIエージェント。ガートナーでは、AIエージェントを「デジタルおよびリアルの環境で、状況を知覚し、意思決定を下し、アクションを起こし、目的を達成するためにAI技法を適用する自律的または半自律的なソフトウェア」と定義している。シンプルにいうと、「特定の目標を達成するために、自律的に行動するAIシステム」と捉えられる。
チャットボットやRPAがあらかじめ定義された作業手順を自動化するのに対して、AIエージェントは、複雑なデータや状況に自律的に適応できる可能性を持っている。ただし、現時点のAIエージェントはまだ初期段階のものであり、「理想のAIエージェントになるように」人間が試行錯誤をしながら育てていく必要があるという。
ガートナージャパン ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストの亦賀忠明氏は、「企業は、AIエージェントについて『すぐにすごいAIが登場した』『導入すればすべてをうまく実行してくれるソフトウェアやシステムが登場した』と捉えてはなりません。これはあくまでも理想であり、将来的な展望やビジョンです。ユーザーが何も設定等をせずに、企業ユーザーにとって気の利いた対応が出来る『AIエージェント』は、現時点では世の中には存在しません」と注意を促している。
さらに、「AIエージェントを試したい企業は、ベンダーの提供する『AIエージェント・フレームワーク』を用いて、特定されたタスクに対応するAIエージェントになるように適宜設定もしくは開発する必要があります」と続け、AIエージェントの「自律」性にも一定の制約があることを指摘する。
このAIエージェント・フレームワークは、現在、企業向けの即効的な利用可能性があるものと、研究開発向けの高度なものに分類できる。研究開発向けは、さらに、「フレームワークでの進化したもの」、「大規模言語モデル (LLM) そのものが進化したもの」「マルチエージェント」に分類でき、将来の可能性を探るもので、現時点ではユーザー企業の優先的な選択肢とはなりにくいという。
亦賀氏は、「AIエージェントを実践する前段階として、AIを推進する担当者やエンジニアは、まずはリアリティを把握することが重要です。理解できる・できないにかかわらず、ベンダー等のWebサイトにアクセスして初期の探索を行うことは、そのリアリティを知るために最初にやるべきことです。すべての企業は、ベンダーやシステム・インテグレーターに『丸投げ的なPOCを依頼』しないように、自分たち自身で出来る体験や学びをまずは行い、事前に目利き力を強化する必要があります」と述べている。
ガートナーは、2028年までに、日本企業の60%は、現在のAIエージェントにより、機械的な業務に関するタスクの自動化を実現すると仮説を立てている。加えて、AIエージェントを将来の重要な戦略要素として捉え、適切なタイミングで新たなチャレンジを行うことを推奨している。









