高校の軽音部以来のバンドを再開 ライブ活動も
そのためベース用のアンプが欲しくなった
本連載の第804回目での“光るピック”の紹介記事(「超久しぶりのライブ用に目立ち度抜群な”光るピック”を衝動買い」)では、高校の軽音楽部からスタートしたバンドで、昨年の大阪ライブに続き11月も東京でライブをすることをご紹介した。途中に長い長いブランク期間があるが筆者はそのバンドの結成時からのメンバーで今もエレキベース(以降、ベース)を担当している。
一般的なベースは4弦で、ご存じのように6弦ギターの太い方の弦4本の1オクターブ下の低音を出す弦楽器だ。タイトでクリアな低音から量感のある重低音まで多様なサウンドを出すことができるが、そのためには大口径のスピーカーユニットやそれを支えるための大容量のエンクロージャーが必要だ。
NASの中から、昭和の昔に筆者が使っていたベースアンプの写真が見つかった。撮影現場は夏休みに毎年演奏のアルバイトに行っていた、今は無き「宝塚ファミリーランド」という遊園地の楽屋裏だ。たぶん楽器をしまっていた宝塚大劇場の倉庫から、ベースアンプを出して演奏会場までゴロゴロと押しているときのようだ。
「ベースアンプは大きくて重いのが正義」の信念から
小さいけど出来は良さそうな製品を即の衝動買いはできず
今よりはるかにコダワリがあり、はるかにマニアックだった筆者は、当時JBL社のD130ユニットが入るミニマムサイズのバスレフ型エンクロージャーを、プロに設計依頼して製作してもらい愛用していた。しかしひとりではとても持ち運べる重さではなかったので、キャスターを付けて、こんな感じであちこちゴロゴロと押していた記憶がある。
久しぶりのライブで使うベースは、半日ほどネットで狙いを定め、翌日から都内を駆けずり回ってお気に入りを見つけた。アンプはずっとギターアンプを代用していたが、きちんと低音の出る自宅練習用のベースアンプも買うことを決心した。昔の記憶から大きなアンプの置き場所の確保が一番の心配事だったが、ネットを徘徊していてやけに値段の高い、小さなベースアンプを発見した。
そのたどり着いたベースアンプの製品名は「Phile Jones NANOBASS X4C」(以降、NANOBASS)。小さいけど頑丈な作りでズッシリ感があり信頼できそうだった。ただ、いまだに1970年代のレガシーな筆者の昭和脳の中には「ベースアンプは大きくて重いのが正義」という信念があり、軽はずみな衝動買いには至らなかった。
筆者は「わからないことは人に聞け!」というのをネット時代以前から原則としている。今回も速攻で同じバンド仲間の現役のギタリストやSNSの友達で現役のベーシストの人に聞いてみた。返答はもう圧倒的に“絶賛”だった。かくして人生で初めて、音が命のベースアンプを、YouTubeでの紹介ビデオをスマホのスピーカーで1回再生しただけで衝動買いしてしまった。
話に聞いたとおりにコンパクトな筐体
しかしすぐに気に入った
早速届いたNANOBASSの荷姿はうわさどおりに超小さかった。早速取り出してみた赤いベースアンプは160(W)×200(H)×197(D)mmで、重量はたった2.6kgのコンパクトサイズ。同梱物は電源ケーブルと両端が3.5mmのオーディオケーブル、英語と日本語のオーナーズマニュアル、はがきサイズのプロモーションシート、モバイルバッテリ使用時の注意書き、そして保証書だった。
NANOBASSは35Wのデジタルアンプを搭載し4インチ(約10㎝)のカスタムスピーカーと低域を補強する為のスクエアなRALFRパッシブラジエーターをスピーカーユニットと背中合わせに配置したキューブ型構造だ。そのコンビネーションで低域の68Hz~15KHzまでの広い周波数特性をカバーしている。
上面にはベースアンプのコントロール部分が3段に渡って集中配置されている。最下段には3-Band EQ (Treble・ Mid・ Bass)を配置してきめ細かな音作りも可能だ。その右端にはマスターボリュームがある。
中段のCLIPランプ付のINPUT LEVELコントローラーで事前に過大な入力音の歪みもチェック・調整可能だ。またAUXとBT(Bluetooth)の入力音量の独立個別コントロールとボタンをプッシュすることで、AUX入力とBluetooth入力を交互に切替することもできる。
最上段にはInput(楽器用)、AUX IN、HEADPHONEの入出力端子が配置されている。右端は電源オンオフスイッチとオンの時に点灯するランプだ。電源ケーブルは本体の向かって右側面にあり付属の電源ケーブルを接続する。
AC端子のすぐ上側にはUSB Type-C規格のDC入力もある。NANOBASS本体底面には頑丈なゴム脚が4個固定されておりNANOBASSを安定して、しっかりと設置できる。最初はNANOBASSを筆者宅のダイニングテーブル上に設置してテストしてみたが共振もなくどこででも安定した設置ができそうだ。
サウンドには人それぞれに好き嫌いがあり、ベースアンプ単体では評価は難しい。長く愛用しているミュージックマンスティングレイベース1974年モデルやライブのために新しく入手したジャズベース1964年Heavy Relicモデルで実際に使ってみた限り、太めの芯のあるゴリっとしたタイトな音の周囲をソフトな薄皮で包み込むような音の粒立ちとバランスは超絶気に入ってしまった。
一方、どちらかと言えば輪郭の明瞭ではないブースト傾向の強いショートスケールのギブソンSG Standard Bass 2018の場合は、NANOBASSのクリアな良さをイマイチ発揮できずにいる。SG Bassにフェンダー系の音を求めるのはしょせん無理な話ではあるが、特に4弦のもっこりした音をNANOBASSとのコンビネーションとイコライザーでの調整を試みてもう少し安定させたいと思っている。

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