このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

エコシステムに変化はあるものの攻撃はやまず、WithSecureの脅威インテリジェンス専門家が解説

犯罪者どうしの“信頼関係”に亀裂? ランサム犯罪業界の2024年を振り返る

2024年12月26日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

犯罪エコシステムに影響を与えるかもしれない「サイバー保険の普及」

 ランサムウェアをめぐる状況は、これからどう変化していくのだろうか。

 ランサムウェアエコシステム全体を解体することは極めて難しい、というのがウエスト氏の見解だ。独立した犯罪者たちがいわば“疎結合”で活動しているために、一度に多くの逮捕者を出すことは難しい。また、ダークウェブにある多数のインフラを閉鎖することも困難だ。ランサムウェア攻撃が“割のいいビジネス”であり続けるかぎり、このエコシステムは存続するだろう。

 「わたしたちにできる最善の方法は、(セキュリティ対策を強化して)ランサムウェア攻撃を行うコストを増大させることだ」

 エコシステムの状況を変える可能性がある新たな動きのひとつとして、ウエスト氏は「サイバー保険の普及」を挙げた。ただし、その影響がポジティブなものになるかネガティブなものになるかは「まだ誰にも分からない」と語る。

 「サイバー保険が普及することで、被害を受けた企業は身代金の支払いに応じやすくなる。ただしそれは、犯罪エコシステムが金銭を得やすくなるということでもある。一方で、サイバー保険を提供する会社が顧客企業にセキュリティ対策のアドバイスをしたり、身代金交渉に介入して犯罪者の要求額を引き下げさせたりするようになるかもしれない。サイバー保険はまだ黎明期の業界であり、その影響は未知数だ」

動向のまとめ。今回ウエスト氏が解説した内容の多くは、WithSecureの「最新ランサムウェア脅威レポート 2024年上半期版」に掲載されている

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

アクセスランキング

  1. 1位

    デジタル

    実は“無謀な挑戦”だったルーター開発 ヤマハネットワーク製品の30年と2025年新製品を振り返る

  2. 2位

    ITトピック

    「全国的に大変な状況になっています」 盛岡のSIerが見た自治体システム標準化のリアル

  3. 3位

    ゲーム

    信長を研究する東大教授、『信長の野望』を30年ぶりにプレイ 「若い頃だったら確実にハマってた」

  4. 4位

    ゲーム

    92歳 vs 95歳が『鉄拳8』でガチ対決!? “ご長寿eスポーツ大会”が海外でも話題に

  5. 5位

    sponsored

    SIer/ネットワーク技術者こそ知ってほしい! 「AV over IP」がもたらすビジネスチャンス

  6. 6位

    デジタル

    ヤマハ、2026年夏にWi-Fi 7対応アクセスポイント投入 スケルトンモデルも追加で「見せたくなる」デザインに

  7. 7位

    TECH

    NTTが日比谷を「光の街」に。次世代通信技術を都市にインストール

  8. 8位

    ITトピック

    セキュリティ人材の課題は人手不足ではなく「スキル不足」/生成AIのRAG導入が進まない背景/日本で強いインフレ悲観、ほか

  9. 9位

    ビジネス・開発

    10年先にいる「将棋界」から学ぶ 強豪将棋AI・水匠チームが語る“人を超えたAI”との向き合い方

  10. 10位

    TECH

    2026年度始動の「サプライチェーンセキュリティ評価制度」 企業セキュリティが“客観評価”される時代に

集計期間:
2025年12月21日~2025年12月27日
  • 角川アスキー総合研究所