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瞬く間に日本で350万ユーザーに達したGitHubの現在地

市民権を得たソフト開発での生成AI活用 富士通もリファクタリングや障害対応に「GitHub Copilot」

2024年11月28日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 “コードの共有プラットフォーム”として始まったGitHubは、今では、AIを利用した開発支援のプラットフォームへと変貌を遂げている。世界中の開発者に利用され、その利用範囲もソフトウェア開発だけにとどまらない。

 GitHubを利用する日本の開発者も、昨年比で23%増加して「350万人」に到達。この成長率を継続すると、2028年には日本のGitHub開発者数が世界7位となる勢いだ(現在は世界8位)。また、日本では定着が鈍化しているとも言われる生成AIも、GitHub上では活発で、生成AIプロジェクトへの貢献数は、ここ1年で約50%増加しているという。

※訂正:初出時、GitHubを利用する日本の開発者数に誤記がありました。お詫びのうえ訂正いたします。(2024年11月28日 14:00 編集部)

GitHubの日本での現状

 GitHub Japanのリージョナル ディレクターである山銅章太氏は、「当初は“ソフトウェア企業のためのサービス”というイメージがあったが、2023年ぐらいから、製造や金融、医療などあらゆる産業において“企業のイノベーションを加速するメインの開発プラットフォーム”として選択されることが多くなった。GitHubで社内のコラボレーションを活性化させる、ソフトウェアのリリースを加速して競争優位性を確保するという機運が高まっている」と説明する。

GitHub Japan リージョナル ディレクター 山銅章太氏

 「予想に反して高い成長を続けている」(山銅氏)というのが、生成AIが開発者を支援する「GitHub Copilot」だ。グローバルで多くの開発者が「AIペアプログラマー」として活用しており、有償プランのユーザー数だけでも180万人を超え、7万7000社以上が導入している。

 GitHub Copilotなど開発者向けのAIツールは、利用率が飛びぬけて高いのも特徴だ。「ソフトウェア開発は、AIと相性が良い。直接生産性向上に寄与して、学習支援にもなり、今の開発環境ですぐに使える。何より、プログラミングそのものが、コンピュータに指示をするための作業であるため、AIが学習しやすく、ユーザーに提示しやすい。まさに“市民権を得ているツール”」と山銅氏。

 ここからは、実際にGitHub Copilotの利用を推進する富士通の事例、そして、10月末に開催された年次カンファレンス「GitHub Universe 2024」の振り返りについて紹介する。

「最低でも20%以上の生産性向上効果」GitHub Copilotをリファクタリングや障害対応に活用

 富士通は、GitHub Copilotの全社展開を、2024年7月より開始している。社内に閉じた開発ではそれ以前から利用していたが、セキュリティや品質、知財リスクのチェック体制やガイドラインを構築した上で、現在は受託開発や顧客向けサービスの開発においても活用している。現在、富士通グループ内のデリバリー組織を中心とした2400名の開発者がユーザーとなっている。

富士通のソフトウェア開発における生成AI活用

 なぜGitHub Copilotを選んだのか。富士通のソフトウェアオープンイノベーション事業本部 本部長である粟津正輝氏は、「使いやすさや既存の開発環境との親和性といった技術的評価に加えて、富士通のビジネスに適合するかという独自のビジネス評価に照らし合わせて選定した」と説明する。

富士通 ソフトウェアオープンイノベーション事業本部 本部長 粟津正輝氏

 適用範囲としては、まずは最も効果が得られやすい、コーディングアシストの領域から利用している。コード作成やデバッグ、コード説明に加えて、テストコードやテストケース、テストデータの作成にも用いる。

 より具体的な利用シーンとして、粟津氏は「リファクタリング」を挙げた。例えば、1000ステップほどのJavaのソースコードを、「このクラスで共通化できる処理を提案して」とGitHub Copilotに投げる。そうすると、75%削減されたソースコードが提示されるといった利用方法だ。「テストの工数やメンテナンス性、可読性など、ソースコードが減るだけではなく、その後の作業にも大きなインパクトが出る」と粟津氏。

 もうひとつの利用シーンが、「ソフトウェア障害対応」だ。障害対応のプロセスにおける、原因分析から修正計画、実際の修正、単体テストまでを、GitHub Copilotに提案してもらう。試行錯誤が必要だった作業がなくなり、最終確認をするだけで済むようになる。「上級者よりも初中級者への効果が大きい。一方で、妥当性の判断は人間がしなければいけないため、最終確認が重要」(粟津氏)。

利用シーン(リファクタリング/ソフトウェア障害対応)

 ここまで社内からは、「論理を組み立てる時間が4時間から20分になった」「Linux環境保守のスクリプト作成が30%短縮できた」「1人日の作業が1時間程度になった」「文法を調べることがなくなった」といった声が挙がっているという。

GitHub Copilot利用者の声

 アンケートでも、利用者の90%以上が生産性向上を実感しており、“最低でも20%以上の作業時間短縮効果”が試算できているとのことだ。

 今後は、2025年度末(2026年3月)までに、利用する開発者を1万人にまで広げて、累積で37万5000時間の業務削減効果を得ることを目指している。ここではGitHub Copilotだけでなく、汎用の生成AIや富士通のAI技術も用いて、コーディング以外の要件定義や設計、運用保守でも生成AIを活用していく予定だ。

富士通のGitHub Copilot活用計画

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