大丸有エリアの地下に広がる熱と冷気のダンジョン「地域冷暖房」施設に潜入!

文●オシミリン(LOVEWalker編集部)

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ボイラー室

 日本を代表するターミナル駅の1つである東京駅があり、有名企業のオフィスや商業施設など、数多くのビルが立ち並ぶ丸の内エリア。洗練された印象の街並みが広がる丸の内ですが、その地下に何が広がっているか…そんなことを考えたことはありますか?

 実は今回、普段は訪れることのできない丸の内の地下空間に潜入できちゃうツアーに参加してきたんです! 普段訪れている丸の内の地下にはこんな空間が広がっていたのか!と驚きの連続だったこのツアー。その様子をご紹介します。

大丸有エリアの普段は入れない場所に行けちゃう「OPEN CITY MARUNOUCHI」

 大手町・丸の内・有楽町エリア(以下、大丸有エリア)の普段は入れない場所や、見られない・知られていない場所を巡る「OPEN CITY MARUNOUCHI」。2018年にスタートし、7年目となる今年は、2024年10月31日(木)~11月2日(土)の3日間で開催されています。

 東京駅の誕生から今日に至るまでの改良工事の歴史を解説する“東京駅の工事と歴史を巡るツアー”や、鉄道高架下を歩きながら大丸有エリアの歴史と進化を知ることができる“100年の歴史と未来がクロスする鉄道高架下ツアー”、時間や場所を自由に選択できる働き方を追求するCBREのオフィススペースを見学できる“CBREオフィス探検”など、今年は24のプログラムを実施。

 そのなかでも注目のプログラムが、毎年人気のツアー“地下空間探検~大丸有エリアを支える地域冷暖房~”。今回はこのツアーに参加し、大丸有エリアの普段見ることのできない地下空間に潜入してきました。

エリア一帯の空調を担う「地域冷暖房」

 ツアーの集合場所は、OTEMACHI ONE GARDEN ゲートウェイプラザ付近。参加者が集まると早速移動して、大手町センターの地下にある「丸の内熱供給株式会社」の会議室へ。ここでは、このツアーのテーマである「地域冷暖房」について教えていただきます。

 そもそも「地域冷暖房」とは何なのか。簡単に言うと、地域一帯の冷暖房を行うシステムのこと。プラントにあるボイラーで蒸気を、冷凍機で冷水をまとめてつくり、洞道(地下トンネル)に敷設した導管を通じてエリア内の複数のビルに届け、冷暖房を行います。

地域冷暖房

地域冷暖房なんてシステム、知らなかった…!

 私はこのツアーで初めて地域冷暖房の存在を知ったのですが、日本での本格的な地域冷暖房は1970年の大阪万博から始まっているそう。現在では全国各地に広がり、東京都内でも、大丸有エリアのほかに新宿や池袋、六本木などで行われているそうです。

丸の内熱供給地域冷暖房エリア

丸の内熱供給株式会社が冷暖房をまかなうエリア

 大丸有エリアでは、1976年に旧大手町センターのプラントから供給を開始しています。当時、高度経済成長期で大気汚染が深刻だったことから、環境保全を担う地域冷暖房会社として丸の内熱供給が設立されました。その後、供給エリアは広がっていき、大丸有エリアだけでも現在19のプラントから57棟もの建物に供給を行っています。旧大手町センターは、2020年に大手町センターとOtemachi Oneサブプラントに移転。今回のツアーでは、この2か所のプラントを見学します。

地下に広がる大規模な施設

 「地域冷暖房」とは何なのかがわかったところで、いよいよプラントへ向かいます!

 最初に訪れたのは、大手町センターの冷凍機室。吸収冷凍機とターボ冷凍機という2種類の冷凍機が設置されています。この冷凍機で約6度の冷水を作り、複数のビルに届けられています。冷凍機1台で、一般家庭に置かれる10畳ほどの部屋用の冷房を3000~5000台ほどまかなえるんだとか。規模がでかすぎる…!

吸収冷凍機

吸収冷凍機。大きい…!

ターボ冷凍機

こちらはターボ冷凍機

 導管の様子も確認できました。こんな管が大丸有エリア地下一帯にあるなんて、想像したこともありませんでした。

導管

たくさんの導管が確認できます

 続いて訪れたのはボイラー室。事前に室温が高いと聞いていたので、着てきたジャケットは脱いでおいたのですが、それでもなかなかの暑さ。動き回ったりしたらすぐに汗をかきそうです。

 ボイラー室も大きなボイラーが並びます。ボイラーで作られるのは、約175度の蒸気。室内が暑くなるのも当然です。このボイラーは1台で、一般家庭に置かれる10畳ほどの部屋用の暖房を8000台ほどまかなえるそう。ちょっと想像がつかないパワーですね。

ボイラー室

こちらはボイラー室。暑い…!

 稼働中のボイラーの裏側にまわると、小さな窓からボイラー内の火を見ることもできます。ガラスが曇っていたため写真では分かりにくいのですが、青い炎が確認できました。

ボイラー

写真ではわかりづらいのですが、青い炎が見えました

 Otemachi Oneサブプラントも見学。こちらも「サブ」とは思えないほど、大きな機械がたくさん並んでいます。

Otemachi Oneサブプラントの冷凍機

 続いて、機械の搬出入などに使用する開口部、マシンハッチを見に行きます。機械室にある冷凍機もボイラーもとても大きな機械ですから、地下にある冷凍機室やボイラー室などの機械室に機械を運び込むためには大きなマシンハッチが必要です。

 機械室からマシンハッチに繋がる扉を出て見上げると、自分が今いる場所の深さがよくわかります。普段は見られない地下にこんな施設があったんだなあ…と改めて驚きの気持ちです。

マシンハッチ

こんなに深くに機械を運び込むのは大変そうだ…!

止水扉

大雨の際などにマシンハッチから入ってきた水が機械室まで流れ込んできてしまわないよう、止水扉もばっちり備えられています

 まだまだこの地下空間を探検したい気持ちでしたが、これにてツアーは終了。戻る時に目に入った配管にも、これはどこに繋がっているんだろう…と好奇心を掻き立てられました。

配管

名残惜しいですが、ツアーは終了

 よく訪れる大丸有エリアですが、地下にこんな大規模な施設があったとは…。しかも今回見学したのはごく一部。まだまだこんな施設がエリア内の地下に広がっているんです。大丸有エリアの冷暖房設備を地下から供給する、まさに「縁の下の力持ち」! これからは大丸有エリアの地上を歩く時も、地下に広がる空間を想像しながら歩くことになりそう。

 基本は事前予約が必要なOPEN CITY MARUNOUCHIですが、今年は予約不要の自由見学プログラムもあります。OPEN CITY MARUNOUCHIのHPを参考にして、街歩きを楽しみましょう!
OPEN CITY MARUNOUCHI https://opencitymarunouchi.jp/

OPEN CITY MARUNOUCHI 2024
開催日時:2024年10月31日(木)・11月1日(金)・11月2日(土)
開催場所:大手町・丸の内・有楽町エリアの施設及び空間等
参加費:1回¥500/人 ※自由見学(事前申込不要・参加費無料)のプログラムもあり


文 / オシミリン(LoveWalker編集部)

大阪生まれ。
趣味は読書と写真を撮ること、おいしいものを食べておいしいお酒を飲むこと。


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